溺愛求婚〜エリート外科医の庇護欲を煽ってしまいました〜

つまりは黙認している、ということなのだろうか。そうでなければ『ウソか真実かはどうでもいい』なんて言えないはずだ。

「おい、聞いているのか? さっさと白状しなければ、この病院にいられなくなるぞ」

「身に覚えのないことを謝ることはできません」

「身に覚えがない、だと? 数年前に宮本と関係があったことはたしかだろう?」

まるで蔑むような、嫌悪を秘めた瞳。その言葉と視線にドキリとした。

数年前、たしかに私は優と付き合っていた。でも優にとって私はただの遊び相手だった。

ひどいことを言われて裏切られ、ボロボロになるまで傷つけられた。弄ばれただけのかわいそうな女だと、どうしてこんなところでさらけ出さなければいけないの。

「…………」

「ふん、図星か。どうやら、これ以上話していても無駄なようだな。事実はどうであれ、天音と宮本の婚約は変わらない。どれだけの横やりが入ろうともな」

柊製薬の会長としての、経営者としての顔だった。天音さんの肩がさらに小さく縮こまったような気がする。

「お父様……もうよろしいでしょう? そろそろお暇致しましょう」

これまでなにも言わなかった天音さんが恐る恐る口を開いた。はっきりとした口調で言い放つと、高級ブランドの最新型のバーキンのバッグを手に立ち上がる。

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