溺愛求婚〜エリート外科医の庇護欲を煽ってしまいました〜
「それに、実際俺に会いにこんなところまできているじゃないか。ちがうって言われても信じられないな」
「そ、それは」
身の潔白を証明したくて、会いたくもないのにわざわざきたのよ。
そう言おうとしたけれど、優の顔を見てると言葉が続かなかった。
悔しい、ものすごく。怒りがふつふつと湧いて、いつの間にかきつく拳を握っていた。爪が食い込んで痛いけれど、今はそれどころじゃない。
「あなたに散々傷つけられて、正直言って恨んだりしたこともある。でも私じゃない。あなたを恨んでる人が他にいるのよ」
「なんとでも言え。誰がお前の言葉なんて信じるかよ」
「……っ」
「ストーカーとして警察に通報されたくなければ、さっさと帰るんだな」
悔しくて苦しくて、喉の奥がカーッと熱くなる。
どうしてここまで言われなきゃいけないのだろう。
涙が溢れそうになってグッと歯を食いしばった。そして彼の顔も見ずに踵を返す。
後ろでフッと笑われた気がしたけれど、振り返ることはできなかった。