溺愛求婚〜エリート外科医の庇護欲を煽ってしまいました〜
「なんだよ、意味深な言い方だな。なにかあったのか?」
「別に! それより、よっちゃんとかみっくんも、元気にしてる? 久しぶりに連絡してみようかな」
「元気なんじゃねーの? 俺、柚としか連絡取らないからなぁ」
真也がそうつぶやいたと同時に、綿棒で傷口に化膿止めの薬を塗る。そして絆創膏を数カ所に貼ると処置は終わった。
「とりあえず、これで大丈夫だと思う」
「サンキュー」
「今より赤くなったり腫れてきたり痛かったりしたら、ちゃんと病院に行ってね」
「へいへい」
わかっているのかいないのか、真也は軽い返事をする。でもそのすぐあとに、私の顔を真剣な目で見つめた。
「なにかあるならさ、遠慮せずに俺に言えよ?」
「え?」
「柚は強がってひとりで我慢して耐えるところがあるからな。こんな俺でも、話くらいは聞けるし」
「真也……」
訪れる静かな空気。真也とはいつもふざけ合っていたけれど、私が落ち込んでいるときや苦しいときはこうやっていつも優しい言葉をかけてくれた。
「俺はいつでも柚の味方だからな」
「……ありがとう」
「おう」
「あ、そうだ、よかったら今日うちでご飯食べて行ってよ。久しぶりにゆっくり話したいしさ」
「言われなくてもそうするつもりだったよ」
辺りはすっかり暗くなっていた。ちょうど夕飯時だからなのか、お腹も空いてきた気がする。
ここ数日沈んでいた気持ちが、真也に会って上向きになったような気がした。