溺愛求婚〜エリート外科医の庇護欲を煽ってしまいました〜
いいなぁ、今頃、篠宮先生はどうしているのかな。連絡がないから、状況がわからない。
もうシアトルから帰ってきているよね?
だとしたら、私の噂も耳に入っている?
篠宮先生は私のことを聞いてどう思ったかな。
どう思ったか確認するのが怖い、ものすごく。篠宮先生だけには誤解されたくない。私じゃないと言ったところで、信じてもらえるだろうか。
あの日、篠宮先生の告白から逃げるように立ち去ったことを後悔している。彼はもう私に話しかけてこないかもしれない。愛想を尽かされたかもしれない。
何度も電話しようとしたけれど、そんな考えが頭をよぎって発信ボタンを押す指が躊躇してしまう。
お風呂上がりにベッドに横になりながら篠宮先生の番号を画面に表示したけれど、結局電話をかけることはできなかった。
毎日無意識に篠宮先生のことを考えてしまう私は、どうかしているよ。
ぼんやりスマホを眺めては連絡がくることを期待して、篠宮先生の名前がスマホに表示されるのを心待ちにしている私がいる。
会えないのが寂しくて、こんな時なのに毎日のように考えてしまう。
──会いたい。
──声が聞きたい。
──触れたい。
──今、どこでなにをしているの?
もういい加減、認めざるを得ない。
篠宮先生が好きだということを。