溺愛求婚〜エリート外科医の庇護欲を煽ってしまいました〜
全力できみを守りたい〜篠宮side〜
遡ること二日前──。
「篠宮先生! おかえりなさい」
職員証をかざしてロックを解除してからドアを開けると、入口からすぐのデスクにいたクラークの杉山さんがパッと明るい笑顔を見せた。
立ち上がりこちらに走り寄ってくる。
きれいに手入れされた爪に、くるくるに巻かれた髪の毛。メイクも派手で香水の匂いがきつく、思わず息が詰まりそうになる。
近寄ってきた彼女と距離を取りながら最奥にあるデスクに向かう。その後を彼女が追ってきた。
「シアトルはどうでしたか?」
「なにか変わったことはあったか?」
彼女の質問に畳み掛けるように返しながら、院内スマホが置いてあるデスクから自分用のものを抜き取る。
そして素早く電源を入れた。
「そりゃたくさんありましたよ〜。篠宮先生がいない間、篠宮先生はいつ帰ってくるんだ? って、色んな人に聞かれちゃって」
「そうか。あ、これお土産」
「わぁ、ありがとうございます! ってこれ、シアトル限定のスイートチョコレートじゃないですか! 人気でなかなか手に入らないのに、さすがです! 一度食べてみたかったんですよね」
そう声を弾ませる杉山さんは甘いものに目がないらしく、仕事中もよくお菓子を口にしている。
「で、なにか変わったことは?」