溺愛求婚〜エリート外科医の庇護欲を煽ってしまいました〜

「特にはありませんでしたよ。他院からの紹介も受けないようにしていましたし、緊急性のある患者さんは他の先生に振っていますしね。あ、本日中にお願いしたい書類が山積みです」

「ああ、それは覚悟しているよ」

「私がフォローできるところはしますので、どんどんこっちに振ってください」

「助かるよ」

「お土産のチョコレートがあるからがんばれます!」

冗談めかしてそう言う杉山さんは、派手さは否めないが、医局のクラークの中で最も仕事ができる優秀な人材だ。

言わずともやるべきことを完璧にこなし、さらにはそれ以上のことにまで気を回してくれるので非常に仕事がやりやすい。

「あ、変わったことといえばもうひとつあります!」

パソコン画面を凝視しながら電子カルテをチェックしていく。一週間留守にしていた間に、患者の容態が変化していないかざっと見回した。

大きな変化はなさそうだ。外科は主に手術をメインでやってるから、よほどのことがない限り急変なんてありえない。

「聞いてます? 篠宮先生」

「ああ」

さほど興味もなく、パソコン画面を見つめたまま適当に相槌を打つ。

彼女の場合、こういう時はたいていくだらない話が多い。

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