溺愛求婚〜エリート外科医の庇護欲を煽ってしまいました〜
恋は盲目っていうけれど、そこまでする?
優は賢そうな女性を選んでいたみたいだし、そんなことをするのは私しかありえないっていう確信を持っていたみたいだけれど。
ああ、また腹が立ってきた。
ここは居心地がよくて、もう都会には戻りたくないとさえ思っている私がいるけれど、このまま逃げ続けていてもなにも変わらない。
「柚、お客さーん!」
二階の自分の部屋のベッドでぼんやりしていると、階下からお母さんの声がした。
まだ夕方なのに窓の外は薄暗く、もうすぐお店が混んでくる時間帯。ここ最近、毎日のように夜はお店の手伝いで忙しくしていることが多い。
そうしていれば余計なことを考えなくて済むし、お客さんと話していると気が紛れるのでいい気分転換にもなる。
ベッドから起き上がり、鏡の前で手ぐしで髪をさっと整える。メイクは昼間にしていたので、グロスを素早く塗り直すとギリギリ人前に出れる格好にはなった。
ベージュのニットのロング丈ワンピースを着て、黒のタイツ姿。外は寒いが室内だから薄着でも問題はない。
「柚、早くしなさいよー!」
「今行くー!」
そんなにお店が忙しいのだろうか?