溺愛求婚〜エリート外科医の庇護欲を煽ってしまいました〜
「柚さんと結婚させてください」
両親よりもビックリした私は大きく目を見開いたまま固まる。
「も、もちろんよっ! もちろんです! ねぇ、あなた!」
「あ、ああ。ありがたい話だ」
手放しで喜ぶ両親。お母さんは目に涙まで浮かべている。
「ちょっと柚、やるじゃない! ああ、和人と留美子さんにも知らせなくちゃ!」
「俺は垣内さんだ。こうしてる場合じゃない、赤飯も炊かないとなっ!」
「ちょっとちょっと、気が早いよ!」
「なに言ってるの、早いくらいがちょうどいいのよっ! 修さん、明日はお休みなんでしょう? 今日はぜひ泊まって行ってね」
お母さんったら何気に『修さん』って、どれだけ順応が早いのよ。狂喜乱舞する両親を尻目に、修さんをじとっと見やる。
「頼もしいご両親だな」
「知らないですよ、もう」
「はは、仲良くやれそうだ」
冗談か本気かわからない微笑み。本当になにを考えているのかわからないけれど、突拍子のなさにはもう慣れた。