溺愛求婚〜エリート外科医の庇護欲を煽ってしまいました〜
ありえない、本当に。うちの両親は揃いも揃ってなにを考えているの。
狭い部屋に敷かれた一組の布団を見て驚愕する。
一階の客間は物置きになっているからといって、修さんがお風呂に入っている間にいそいそとお母さんが私の部屋に布団を運んできたのだ。
「柚のベッドでふたりで寝るのはきついでしょ? シングルなんだし。大丈夫よ、これはダブルだから」
「なにが大丈夫なのよ。ふたりで寝るわけないでしょ」
「まぁまぁ、新婚なんだし仲良くなさい。それじゃあ、おやすみ」
「新婚って、まだ結婚してないからっ」
「照れちゃって、もう。それにしても本当にいい男だわ、修さんって」
うふふと笑いながら、階段を下りて行くお母さんの背中を呆れ顔で見つめる。
どうしようと思考を巡らせながら考えてみたところ、一緒に過ごす夜はこれが初めてというわけではないことに気がついた。
私が気にしすぎているだけで、修さんはなんとも思わないかもしれない。だったらそこまで気にする必要はないのかも。
一気に緊張が解け、修さんが出てくるのをベッドの上でのんきに雑誌を読みながら待っていた。
しばらくするとギシギシと階段がしなる音がして、人の気配がした。