溺愛求婚〜エリート外科医の庇護欲を煽ってしまいました〜
「わぁ、かわいい」
修さんに見せる前に鏡の前で思わず声に出てしまった。
淡いピンク色のマーメイドラインのドレスで、袖口がフリルになっており、スカートも斜めに切り返しが入っているのですごくかわいい。かつ、大人っぽさも兼ね備えた私好みのドレスだ。
「この秋に出たばかりの新作でございます」
「そうなんですか」
何度も試着しているうちにスタッフの女性と打ち解け、自然と笑みがこぼれた。
「よくお似合いですよ。僭越ながら、私がお見立てした通りでございます」
「ありがとうございます」
ピンヒールのベージュのパンプスと合わせると、ますますかわいくてさらに気に入った。
「よく似合ってるよ」
そう言ってようやく笑顔を見せる修さん。パールのネックレスとピアスも勧められたけれど、ドレスとパンプスだけでもきっと相当値が張るはずだ。
冬のボーナスだけで足りるだろうか。値札がついてないので恐怖しか感じない。
「じゃあこれを一式と、そのパールのネックレスとピアスも。それとバッグとコートも頼むよ」
「かしこまりました」
「ちょ、ちょっと待ってください」
「ん? なんだ?」
「なんだ? じゃないですよ。そんなに一気に揃えたら、私の冬のボーナスだけでは払えなくなってしまいます」
そもそも、冬のボーナスだってきちんと支払ってもらえるのだろうか?