溺愛求婚〜エリート外科医の庇護欲を煽ってしまいました〜
「私、ローンは嫌いなのでできれば私が支払える金額内でお願いします」
「その辺の心配はいらないよ。柚に出させるわけがないだろ」
「いやいや、今まで食事もご馳走になっていますし。さすがにそこまで甘えられません」
強気でそう返すとなぜか修さんは喉を鳴らしてくくくっと笑い、甘美なその微笑みにフロア内の女性から甘い吐息がもれる。
ここにいるのは皆、エレガントでモデル並みに美しい人ばかりだ。童顔で背が低い私は、それだけで萎縮してしまう。
「俺は甘えてほしいと思ってる。さっきだって、もっと早く助けに行ってやれてたらって、そんなことばかり考えて。とにかく、ここは俺に任せておけばいい。このまま全部もらうよ」
修さんは妖艶に微笑むと、内ポケットからカードを出して係の女性にそれを預けた。
すごい、ブラックカードなんて初めて見た。思わず目を剥くと、隣からクスクス笑う声がする。
「似合ってるよ、本当に。だからこれは俺からのプレゼントにさせてくれ」
「ありがとう、ございます」
いいのだろうか、本当に。だけど、ここまで言われて断る理由が他に思いつかないので、素直に甘えることにした。
会計を終えると、修さんは戸惑う私の手を引きながらエレベーターのほうへと歩いて行く。