溺愛求婚〜エリート外科医の庇護欲を煽ってしまいました〜
「あの、いったいこれからなにがあるんですか?」
ずっと気になっていたことを恐る恐る訊ねた。しかし、隣でしれっとしている修さんはなにも語ろうとはしてくれない。
「俺がいるから大丈夫だ」
「意味がわかりません」
「それにしても、本当にきれいだよ」
ふんわり巻かれた私の下ろし髪に手を添えて、修さんは優しく微笑んだ。ヒールを履いているから目線の高さがいつもより高い位置にあり、整った顔がより近くに感じられる。
それだけでドキドキして落ち着かない。
「そ、そんなことを言ってごまかそうとしてもダメです」
「ごまかしてなんかいないよ、本気で言ってるんだ」
極上スマイルに思わず赤面してしまう私も私だ。この笑顔には抗えない。
あれから身支度を整い終えた私が連れてこられたのはホテルの最上階。
最上階に客室はなく、ただひとつ観音開きの扉がエレベーターを降りてすぐのところにあるだけだった。
その扉の前ではタキシード姿のドアマンがふたり待機している。
防音効果があるからなのか中の音は聞こえないけれど、とんでもない場所にきてしまったことだけは理解できた。