溺愛求婚〜エリート外科医の庇護欲を煽ってしまいました〜
「柊会長です。心か部と左下腹部をかなり痛がっていて、反跳痛が見られます。恐らく、虫垂炎だと思うんですけど」
状況を軽く説明しながら先ほどの場所へと戻った。柊会長の意識はもうろうとしており、顔色がさっきよりも青白くなっていてヒヤリとした。
「まずいな、血圧が下がってきているのかもしれない。救急車は?」
「さっきスタッフの方にお願いしました」
「到着まで足を上げて血流を確保しよう。脈がかなり速くなってる」
「はいっ!」
緊迫した雰囲気が漂う中、近くに足を乗せられる台がないか探す。しかし見当たらず、私は手にしていたヒールを投げて両手で会長の足を持ち上げた。
けれど、人の足って意外と重いのだ。ひとりで両足を持つには私の力だけでは無理がある。
「まったく、ひとりで無茶するんじゃない。お願いします、誰か他に手をかしてください」
周りにいるたくさんの報道陣に向かって修さんが声をかけた。
救急車が到着するまでの間、片方の足を修さんが、もう片方を体育会系のガタイがいいADの方が名乗り出て支えてくれた。