溺愛求婚〜エリート外科医の庇護欲を煽ってしまいました〜

男性経験がなさすぎて、優の行為が世の中の男性の普通だと思っていた私はあまりにも痛すぎる。

「警戒しているのか? 誓ったとおり、なにもするつもりはない。ただ、ちょっと心配で」

「え?」

「さっき思い詰めたような顔だったからな。コーヒーでも飲んで、落ち着くといい。飲めないなら、紅茶もあるぞ」

心配。そのワードにドキッとしてしまう。本気でそう言ってくれているのだろう。声が真剣だ。

パッた顔を上げて、まっすぐに目を見つめる。すると狼狽えるように篠宮先生の黒目が揺れた。濡れた髪と上半身が大人の色気を漂わせる。

「髪の毛、ちゃんと乾かさないと風邪引きますよ? それと服を着てください。そしたら行きますから」

「ああ、わかった」

するとどこかへ消えた彼は、すぐに上の服を着て私の元へと戻ってきた。それでも色気は十分だけれど、さっきよりはずいぶん軽減されている。

「適当に座って」

四十畳ぐらいありそうなリビングに案内され、その広さに目を丸くする。

カウンターキッチンの前にはスツールが置かれ、ダイニングテーブルは大理石なのか黒光りしてズッシリ重そうだ。

座り心地がよさそうなチェアは、海外の輸入品だろう。有名なブランドの物だ。

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