溺愛求婚〜エリート外科医の庇護欲を煽ってしまいました〜
「いったい、俺のなにが気に入らないんだ?」
「気に入らないというか。完璧、なんです。篠宮先生は」
だからこそ私なんかとは釣り合わなくて、手の届かない人なのではないかと思わされる。
「完璧だから、嫌なんです」
「ほう、面白い意見だな。完璧だからモテることはあっても、嫌だなんて初めて言われたよ」
生意気なことを言ってるのは十分承知しているつもりだ。それでも怒る素振りなどなく、興味深そうに顎を触りながら頷いている。
「パーフェクトすぎるよりも、ちょっとくらい隙があったほうが安心できます」
「柚はまだ俺の全部を知ってるわけじゃないだろ?」
「それはそうですけど」
完璧じゃないところもあると言うのだろうか。そう言われてしまっては立つ瀬がない。隙なんて一切なく、なにに対しても物怖じしない余裕たっぷりの態度を見ていたら、そんなふうには思えないのだけれど。
「もっと色んな俺の姿も知ってほしい」
こうやってグイグイと迫られることに戸惑ってしまう。これ以上どう言っていいかわからず、私は押し黙った。