オレを認めて。私に恋して。
1章

「オレ」が出来た。

目覚ましと共に目を開けた。
少し重たい身体を起こして
近くのカレンダーを見る。

「今日、日曜か……」

立って、部屋を出ようとして立ち止まる。
そこには、男とも女ともとれる顔立ちが
写っていた。

「オレは...女だ。」

母さんとふたりでマンションに暮らしている。
父さんは、オレが小さい時に家族を捨てた。
それが、鏡に写るこいつを
「オレ」にした原因だ。
オレは、橋本 海(Umi Hashimoto)。
そう、橋本 海なんだ。

「母さん、起きて。仕事だろ?」

自分の部屋で寝ている母さんに向かって、
キッチンから声をかけた。

「かいくーーん。今日ね、
フレンチトーストがいいなぁ…。」

そうやって眠たそうに伸びをして
母親は部屋から出てきた。
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