オレを認めて。私に恋して。
と、まぁ少し調子に乗ったと同時に
扉を開けて
またカードをドアノブにかざす。
ここに入る時の「オレ」とは
違う姿の「私」。

「今日も街に行こう!」

私は、軽々と優雅にまとった白い服を
風になびかせた。

電車を待つ私に向く目線には
男の姿ではなく「私」が映っている。

綺麗だとつぶやく同い年くらいの女の子に
笑顔を送り、開いた扉に足を踏み入れる。

流れる景色は1度見えなくなって
出口から光がさしてまた景色が流れる。

それを繰り返してある駅についた。
黄葛駅(Kikazura station)。
「私」を出しても誰も気にしない場所。

華やかで明るい場所が
私の心臓を引っ張って離さない。
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