オレを認めて。私に恋して。
「母さん、おはよう。」

「うん、かいくん。おはよ!」

母さんは、こうやって、オレの事を
「かいくん」って呼ぶ。
母さんがこんな風になったのは
父さんのせいで、狂っていったからだ。
母さんはオレに縋り始めた。
オレが父さんに似ていたから。

母さんはオレを男にした。
髪は繰くれない長さにし、
男の子にするような髪の形になった。
女の子のものは全て部屋からなくなった。
男の子のもので埋め尽くされた。

一人称は、「オレ」にされ、
自分の名前や私とか言ったら、叩かれた。
女の子が持つような
おもちゃや服が欲しいと言ったら、
「かいくんは、男の子なの!」と言われ、
泣かれた。

小さい頃から、そんなふうに教え込まれた。
< 3 / 28 >

この作品をシェア

pagetop