部長は私を甘やかしすぎです!
第十二章
◯竜二のマンション
竜二は玄関をあける
竜二 「雫ちゃんいる?」
雫 「はーい」
浴室から声がした
竜二 「シャワーしたい、暑い」
雫 「どうぞー」
竜二 「一緒に入る?」
雫 「やだー、竜二さんたら」
雫は浴室から出ていった
竜二が出てくると新しいスーツが置かれていた
竜二 (さすが雫ちゃん(笑))
雫 「お昼は家で食べますか?」
竜二 「うん、食べる。十二時半に出る」
雫 「用意しますね」
竜二はダイニングテーブルに座った
雫 「無事終わりましたか?」
竜二 「まあ、なんとか……掃除の人がいなくて床掃除してきた」
雫 「えー、それはお疲れ様です」
竜二は舟木店の出来事を雫に話した
雫 「どうぞ」
竜二 「素麺か、いいな、雫ちゃんは?」
雫 「食べますよ。でももう少ししてからにします。少し早いので」
竜二 「旨いもの食べたら少し落ち着いた」
雫 「よかったです。そこだけが竜二さんの店舗じゃないですもんね。切り替え大事です」
竜二 「雫ちゃんが居てくれてよかった」
雫 「(笑)暇ですから~」
玄関で雫は見送る
竜二 「じゃあ行ってくる」
竜二は自分の頬を指でトントンと指す
雫 「あっ、チュッ、行ってらっしゃい」
お返しのキスも雫は唇にもらい、竜二を見送る
雫 (不意打ち……カッコいい)
◯本社ビル
真木 「お疲れ様です」
竜二 「ああ、疲れたモップがけしてきたよ」
真木 「えっ、そんな状態に?」
竜二 「経理に行ってくる」
◯本社経理課
竜二 「部長、いいですか?」
部長 「ああ、お疲れ」
二人は個室に入る
部長 「聞いたよ、大変だったな」
竜二 「すみません勝手に、部長の許可も取らずに」
部長 「出張だったから構わないよ」
竜二 「事後報告で申し訳ないですがレジの修理とエアコン掃除と室外機が壊れてるのでそれの請求が回ってきます」
部長 「今日のレシートあるんだろ?」
竜二 「あっ、これは自分でみんなに飲み物を渡したので大丈夫です」
部長 「いいよ、出せよ」
竜二 「すみません」
部長 「すぐ修理するように書類回すから」
竜二 「ありがとうございます」
◯総務
竜二 「課長、この書類もらっていきます」
課長 「あっ、悪い」
竜二 「いえ」
自分の部屋に戻った
真木 「山口さんお呼びしましょうか?」
竜二 「ああ、すまない」
暫くして山口が部屋にやってきた
竜二 「悪いな」
山口 「いえ、お忙しいのにこちらもすみません。一応目を通していただきたくて」
竜二 「広告か?」
山口 「はい」
真木が麦茶を運んでくる
竜二 「これ、見てどう思う?」
真木 「あら、広告ですか?」
竜二 「女性の意見は重要だからな」
真木 「女子社員も行きたいっていってましたよ。浴衣着ていく?とか」
竜二 「浴衣かー、女性の浴衣もいいな」
真木 「なかなか着る機会ないですからね」
竜二 「広告はこれでいいんじゃないか?女性スタッフは浴衣着てもらうか?」
真木 「いいですね、レンタルとか手配いたしましょうか?」
竜二 「そんなのもできるのか?」
真木 「お任せください」
竜二 「社員証見せたら飲み物一本サービスしてくれ」
真木 「じゃあ社内メールはこちらで」
山口 「お願いします。じゃあ行ってきます」
竜二 「行ってこい」
真木 「私も浴衣着て行きましょう(笑)部長は来られますか?」
竜二 「彼女の誕生日なんだよね」
真木 「あら、それで夏休みを?」
竜二 「うん、二人で行くことにした。実は彼女の意見を参考にしたんだよ」
真木 「まあ、彼女を連れてくるとなると女子社員がショックを受けるかもしれませんが、案を出したのなら彼女さんも行きたいでしょうね」
竜二 「俺の迷惑になるならやめるっていうんだけどな」
真木 「健気ですね」
竜二 「だろ?」
真木 「浴衣のお店紹介しましょうか?」
竜二 「そうだな、どこにも連れていってないからな」
真木 「そうなんですね」
竜二 「若い子の好みがわからない(笑)」
真木 「おいくつですか?」
竜二 「二十歳」
真木 「学生さんですか?」
竜二 「うん、あまり高い買い物もしない子だから」
真木 「贈る側ははっきり言ってくれたほうがプレゼントはしやすいですよね」
竜二 「うーん、贅沢言わないんだよな、今までなら高い料理屋連れていったら喜んでたのに」
真木 「でも今までと違う方だから魅力的で惹かれたのでは?」
竜二 「そうなんだよな、二十歳の子に翻弄されてる(笑)」
暫く雫の自慢話をしてしまう竜二だった
◯土曜日の朝、竜二のマンション
雫 「じゃあ、大学に行ってきますよ。ご飯してますからゆっくり今日は休んでくださいね」
寝室に声をかけて雫はオープンキャンパスの手伝いに出掛けた
夜十二時を回っても雫が帰ってこない
竜二はそわそわして待っていた
竜二 (雫ちゃん初日にお酒呑んで寝てるからな、どっかで酔って寝てないといいけど)
ガチャンと玄関の音がした
竜二はソファーで寝たふりをする
雫は静かにリビングに入ってくる
雫 「あれ?竜二さん、寝室で寝てください」
竜二は雫に抱きついた
雫 「もう、また寝たふりですかー(笑)」
竜二 「どこかで寝てるんじゃないかって思って」
雫 「大丈夫ですよ、大学の友達と久しぶりに呑んだので話いっぱいしてて遅くなりました」
竜二 「雫ちゃんバイトいつも入ってるから遊ぶ暇ないよね」
雫 「バイト好きなんで(笑)ごめんなさい遅くなって、もう寝て下さいね」
竜二 「えっ、一緒に寝るよ」
雫 「お酒呑んでるんで私はソファーで寝ますよ」
竜二 「それなら俺だって呑んで帰ったら雫ちゃんと寝れないじゃん」
竜二は拗ねた
雫 「わかりました……シャワーして着替えます」
竜二 「うん!」
雫が寝室に行くと竜二はスースーと寝ていた
雫 (眠たかったんだ(笑))
そっと布団に入る
朝、雫はトイレに起きてご飯のセットをしにダイニングに行く
雫 (あれ?ご飯が炊けてる)
竜二 「雫ちゃんおはよー」
雫 「おはようございます。ご飯が炊けてます」
竜二 「うん、タイマーしてみた(笑)」
雫 「食べますか?」
竜二 「うん、荷物くる前に雫ちゃんの荷物全部運ぼうか?」
雫 「はい、お願いします。あの……」
竜二 「ん?」
雫 「本当にアパート引き払っていいんですか?」
竜二 「うん、当たり前だよ」
雫 「あまりにも贅沢しすぎて……」
竜二 「荷物運んだらこれからのこと話そうか?」
雫 「はい」