部長は私を甘やかしすぎです!
第二十一章
◯次の週の月曜日
雫の家に挨拶に行き快く承諾を得る
帰りの車中
竜二 「なんかあっさりオッケー出たな。学生だからもっと反対されるのかと思った」
雫 「やっぱり大手スーパーの息子っていう肩書きがあるからじゃないかな。それに一緒に暮らすなら仕送りしないって言われたから、これから弟にいるし……私もいいって言っちゃったしね。あっ、バイト代から家賃は払うからね。心配しないで」
竜二 「俺は別に家賃もいいんだけど雫ちゃんが気を遣うならと思って……でも無理はしないでよ。ちゃんと無理なら言って」
雫 「はい」
◯竜二のマンション
竜二 「雫ちゃん、お風呂どうぞ……あれ?」
寝室を覗いたがいなかった
竜二 (部屋?)
コンコン
ドアを開けた
竜二 「雫ちゃんお風呂空いたよ、どうぞ」
雫 「あっ、はい」
雫は浴室に向かった
竜二は本の間に通帳を挟んであるのを見付ける
竜二 (ごめんね、雫ちゃん)
竜二は雫の通帳を見た
竜二 (仕送りがなくなるってことは……携帯代と、定期もしてるのか。雫ちゃんしっかりしてる……バイト代から家賃を引くとあまり残らないか……俺が1日減らしたし)
竜二はリビングで考えた
竜二 (生活には困らないが……春まで様子みようか……)
◯本社ビル六階
竜二は書類に目を通していた
竜二 (ん?三沢店、一人募集申請か……)
三沢店に電話する
竜二 「あっ、本社の真中です。店長、今募集申請を見たんですが」
店長 「はい、午後からの人がご主人の転勤で辞めるんです。それで出しました」
竜二 「ちょっと考えることがある。とりあえず若宮さんが大学生だから夕方少し早く入れるかどうか聞いてみて下さい。ひとまずそれで」
店長 「はい、わかりました。」
電話を切ると舟木店の店長の勤務時間をパソコンで確認する
竜二 (休みが相変わらず多いな、有給は確かに使うのは自由だが……四か月で何回使ってるんだ。内田さんが店長の休みの時はフルで出てるし残業もしてるか。もう少ししたら新人でもつけて……)
竜二はドアを出て真木に声をかける
竜二 「人事異動出す。舟木店の店長を三沢店のチーフマネージャーに、舟木店の内田さんを店長代理で九月一日付けで作成してくれ」
真木 「はい」
竜二 「上の了解がでたら舟木店へ行ってくる」
真木 「わかりました」
◯サクラスーパー舟木店
店長室をノックする
店長 「部長!お疲れ様です」
竜二 「内田さんを呼んできてください。二人にお話があります」
店長 「はい」
二人が揃った
竜二 「二人に辞令を持ってきました」
二人に紙を渡す
店長 「三沢店ですか?」
竜二 「人が足りないんだそうです。三沢店の店長はしっかりしてるから、よく行動を見て勉強しなおしてください。内田さんに引き継ぎして下さいね」
店長 「はい」
竜二 「九月から三沢店の方に行って下さい」
店長 「はい」
竜二 「じゃあ、そういうことで……」
竜二は事務所を出ていく
後ろには内田がついて来ていた
内田 「あの、部長」
竜二 「なんでしょう?」
内田 「僕でいいんでしょうか?」
竜二 「ちょうど三沢店が募集をかけたいと申請書類がきてまして、まあ、店長もよく休んでるし、内田さんが妥当だと僕が判断しました。年齢は関係ないです。暫くは店長代理ですが秋に試験を受けてもらいます。まあ今の店長に足りないところは……今の状況ですね」
内田 「えっ?」
竜二 「僕が帰るまで見送ってくれる。この前もそうだったし、エアコン掃除の日からも変わるかなと思ったが来るのも相変わらず遅いみたいですからね」
内田 「変わりませんね、確かに」
竜二は内田の肩を軽く触る
竜二 「大丈夫です。自信持ってというか今のままでちゃんとやってればいいんですよ。じゃあ頑張ってください」
内田 (部長、カッコいいです!ちゃんと僕を見てくれてる。年下なのにあの振る舞い、ついていきます)
◯サクラスーパー三沢店
店長 「部長、お疲れ様です」
竜二 「お疲れ様です。明日辞令を出します。舟木店の店長をこちらへよこします」
店長 「店長移動ですか?」
竜二 「いえ、ちょっと訳ありで降格させました。もう一度仕事を教えてもらいたいんです。自由に使って構いませんから、九月一日にこちらにきます」
店長 「わかりました」
◯竜二のマンション
雫 「ただいま」
竜二 「おかえり、お疲れ様」
雫 「竜二さんもお疲れ様です。あの相談があるのですが……」
竜二 「うん、先にお風呂に入っておいで」
雫 「はい」
雫はお風呂から出てソファーに座る
雫 「今日店長からお話があったんですけど」
竜二 「うん」
雫 「午後から五時までの人が辞めるらしくて」
竜二 「知ってる。書類が回ってきた」
雫 「あっ、そうですよね」
竜二 「明日辞令を出す。舟木店の店長を三沢店に行かす」
雫 「ああ、あの言ってた人ですか?」
竜二 「うん」
雫 「夏休みなので入れるときに入って欲しいって言われて……」
竜二 「いいよ、俺が月曜日休みにさせたからね、長期休みとか土日でも入りたかったら入っていいよ」
雫 「はい」
竜二 「無理はしないこと。ちゃんと休憩はとること。いいね?」
雫 「はい」
竜二 「お弁当持っていくといいよ(笑)」
雫 「うん」
竜二 「雫ちゃん、今週の飲み会にシメで素麺が食べたいな」
雫 「うん、いいよ。ダシ作っておくね(笑)」
竜二 「寝よっか」
竜二は雫にキスをして二人で寝室に行く……
土曜日、朝から雫はせっせと料理を開始する
竜二はリビングの掃除と忍の寝具の準備などをすませる
雫 「じゃあ、竜二さん私先に出るね」
竜二 「いってらっしゃい、チュッ」
雫のバイトが終わり玄関を開けると靴が沢山あった
雫 (あれ、まだ店にいる時間じゃないのかな、十人?料理足りるかなー)
雫はそっとドアを閉めて買い物に出かけた
竜二は時計を見ていた
竜二 (もう、帰っていいはず……)
竜二は玄関の方に向かう
竜二 (靴が揃えてある……)
ドアが開いた
雫 「あっ、竜二さん」
竜二 「おかえり。遅いからどうしたのかと思って、靴が揃えられてたから一度帰った?」
雫 「うん、人数多かったから少し買い物に」
竜二 「もう、疲れてるんだからお菓子とかでいいのに……シメもあるんだから」
雫 「でも、せっかく来てもらってるから……」
竜二 「もう、可愛いんだから。チュッ」
おでこにキスをした
雫 「やー、自転車こいで汗かいてるのに、酔ってますか?」
竜二 「まだ、そんなには(笑)みんな雫ちゃんに会いたいって二次会がここになった」
雫 「それで早かったの?」
竜二 「うん、ごめんね。行こう!」
リビングのドアを開ける
竜二 「お待たせ~」
雫は拍手で迎えられた
雫 「こんばんは」
雫はダイニングに向かい、冷蔵庫を開ける
雫 (竜二さん、食べるもの一つしか出してないじゃない)
雫は冷蔵庫から料理を出していく
雫 「どうぞ」
皿を置いて竜二をひっぱっていく
雫 「何時に来たの?」
竜二 「九時過ぎだよ。みんな食事は店で食べてるよ。ゆっくりでいいよ」
雫 「飲み物が足りなくなると思うよ」
竜二 「じゃあ買ってくる?一緒に行こうか?まだそこまで酔ってないし」
雫 「そうしてくれると助かる。重いし」
竜二 「じゃあ、他にいるもの聞いてくる」
二人は買い物に出かけた