部長は私を甘やかしすぎです!
第二十二章

二人は買い物に出て行き残されたメンバーは美咲の方を見た

広樹 「美咲、お前諦めたの?」

美咲 「うん、竜二が選んだんだもの。それにね、この間私仕事で会ったのよ。すっごく気が付く子でね、かなわないって思った。竜二が求めてたのは家庭的な子なんだと思う。私料理できないし、今日見てれば多分わかるはず(笑)」

綾  「大学の時は二人お似合いだと思ってたけど結婚は別ってことね。この中に結婚しようと思ってる人いるの?」

紀之 「俺、来年する予定」

広樹 「おー、竜二が帰ってきたら乾杯しようぜ、おっ、この料理うめえ。さっき出してくれたやつ」

みんな次々と料理に手をつけていく


竜二 「ただいまー」

全員 「おかえり」

雫  「空いてるお皿下げてきて」

竜二 「はーい」

雫は飲み物をすぐ冷やしていく

リクエストのあった焼酎とワインを作っておぼんに載せ竜二に渡す

雫が料理を作っていると竜二が呼びに来た

竜二 「雫ちゃん、来年結婚が決まったやつがいるんだ。乾杯するから雫ちゃんも呑もう」

雫  「あっ、はい」

雫は竜二の隣に座った

竜二 「そんなに急いで作らなくても大丈夫だから……」

耳元で竜二が囁いた

雫  (わかってはいるんだけどね……足りないのは駄目なんだよ、もてなす側としては……)

雫はつまみを作りたくてウズウズしていたがとりあえず乾杯に参加することにした

広樹 「じゃあ、紀之の結婚を祝って乾杯~」

全員 「乾杯~」

忍  「いつするんだ?」

紀之 「来年の二月だよ。会社の子」

竜二 「社内恋愛か?」

紀之 「まあな」

竜二 「俺らも婚約はしたよ」

美咲 「えっ、決まったの?」

竜二 「お互いの両親に挨拶したよ」

忍  「付き合って何ヵ月だよ(笑)」

竜二 「確かに……この間(笑)今月の四日に婚約指輪渡した」

みんなが雫の指を一斉に見た

雫は手を隠した

雫  「大切にしまってあります(笑)」

美咲 「ちょっと、竜二、四日って私と仕事した日じゃないの」

竜二 「そう、誕生日だったんだよ。夜にプロポーズして指輪渡したんだ」

美咲 「誕生日だったの?」

雫  「はい」

美咲 「ごめんなさいね、手伝ってもらって」

雫  「いえ、楽しかったです(笑)多分一生忘れられない日になりましたよ」

竜二 「美咲の会社の企画で俺の会社で夏祭りしたんだよ。そしたら俺の両親に会って、次の週に向こうの両親に会って、ちょっとバタバタしたけどな」

雫  「うん」

竜二 「結婚はまだだけど」

雫は空いたお皿を下げて席を立つ

新しい料理と焼酎に変えた忍におかわりを渡す

忍  「ありがとう」

雫  「いえ(笑)」

雫はまたダイニングに行く

雫  (何を作ろうかな~)

冷蔵庫を覗く

美咲 「何か手伝いましょうか?」

雫  「あっ、美咲さん、そんなお客様ですから座って呑んでてください(笑)お仕事の方はどうですか?」

美咲 「そうね、まあまあね。これからまた秋に向かって何かいい企画ないかしら?」

雫  「そうですねー、行楽シーズンですね。家族持ちの人は忙しいですけど独身の人も何か楽しめたらいいですね、一人でも足を運べるようなイベントとか」

美咲 「そうね!みんな今独身だものね。みんなに聞いてみなきゃ!」

雫  「男の人でもきっとやりたいことありますよ、あっ、これ持っていってもらっていいですか?」

美咲 「えっ、今話してる間につくったの?」

雫  「これは簡単ですから~」

美咲 「今度料理の企画考えてみるわ、私全然できないのよ」

雫  「はい」

美咲はお皿を持ってリビングに戻った

雫はもう一品作り焼酎を歩(あゆむ)に渡して竜二の隣に座った

歩  「よく見てるね、ありがとう。えっと……竜二、俺らも雫ちゃんて呼んでいいのか?」

竜二 「えー」

竜二は露骨に嫌そうな顔をした

雫  (竜二さん、そんな顔もするんだ(笑)友達といると色んな顔が見れる。かわいい……)

広樹 「お前は何で自分の女なのに呼び捨てにしてないんだ?」

綾  「そうよ、竜二が呼び捨てにしてないなんて逆に貴重なくらいだからね、この人は名字覚える方が苦手な人だから」

竜二と雫は顔を見合わせた

竜二 「何かイメージかな~、年も離れてるし可愛いんだよね。雫!っていうより雫ちゃんって感じしない?俺の店で雫ちゃんは見つけたんだけどお客さんは雫ちゃんのことを若ちゃんて呼ばれてるんだよ」

広樹 「若ちゃんも可愛いけど名字で呼んでたら結婚したら名字が変わるじゃん」

竜二 「そうだなー」

雫  「名前でいいですよ(笑)」

竜二 「雫ちゃん……」

雫  「いいじゃない、呼び方くらい」

竜二 「じゃあ、俺が雫って呼ぶ」

雫  「別にいいけど……佐和子さんも呼び捨てだし……」

竜二 「佐和子さんて?」

雫  「えっ、自分のお母さんの名前でしょ」

竜二 「何で?」

雫  「えー、だってお母さんて呼ばないで名前で呼んでって言われたから」

竜二 「いつの間に……」

みんな、大笑いする

紀之 「竜二、お前のイメージ変わったわ」

広樹 「そうそう、いつもかっこつけの竜二が雫ちゃんに敵わないって、メロメロだな(笑)」

竜二 「うるさいよ、お前ら」

俊(とし)が口を開く

俊  「雫ちゃん、竜二ね、いつも呑みに行っても格好つけてるんだよ。足組んでふんぞりかえってる」

雫  「でも、いいと思います。それが竜二さんらしいなら……人に迷惑かける態度は駄目ですけど、みなさんの前だけならきっと気を許してるんじゃないでしょうかね。お仕事でいつも謝ってますし」

俊  「なんて、いい子なんだ。雫ちゃん感動したよ。美咲と別れて正解!」

美咲 「ちょっとー、ひどい……でも私この間竜二に謝られたんだよ、びっくりしたよ」

竜二 「雫ちゃんの言うことなら聞くよ」

広樹 「絶対亭主関白だと思ってたのにな」

全員が頷く

綾  「雫ちゃんはお酒強いの?」

雫  「程々です。竜二さんと軽く呑むくらいですね」

紀之 「テニスの打ち上げもここでしようぜ」

竜二 「いいけど、金集めるぞ」

紀之 「オッケー、オッケー」

忍  「周り気にせず話せるな。店なら人数多いし、テーブル分かれるしな」

雫  「食べたい物あったら作りますよ」

広樹 「やった、雫ちゃんの料理旨いよな」

雫  「ありがとうございます。いつですか?」

忍  「十一月三日だよ」

雫  「十人みんな出るんですか?」

竜二 「今年は久々に全員だな」

広樹 「だな、みんなだいぶ仕事が落ち着いてきたってことかな?」

美咲 「確かに仕事にも慣れて休みやすくなってきたわね。後輩もできてきたし」

竜二 「美咲なんかは平日が休みだから特にな」

雫  「竜二さんは毎年出てるんでしょ?」

竜二 「うん、忍と」

雫  「何も練習してませんけど、大丈夫なんですか?」

竜二 「これからかな(笑)」

雫  「みなさん、そんな感じですか?」

広樹 「忍以外はそうだな……忍はテニスのインストラクターしてるから」

忍  「ラケットは持ってるけど、指導だけじゃなー、自分の練習はやっぱり別でしないと」

雫  「竜二さん、頑張らないと……」

竜二 「そうだな、雫ちゃんの料理が美味しくてビール飲み過ぎだから走ろうかな(笑)」

雫  「私見に行っていい?」

竜二 「いいよ」

雫  「やった!楽しみ~」

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