部長は私を甘やかしすぎです!
第二十七章
次の日
鍵が開いて一人の女の人が入ってきた
土居 「おはようございます」
雫 「おはようございます。わざわざありがとうございます」
雫はソファーから立ち上がる
土居 「あっ、座ってください。その為に来たんですから」
雫は座った
土居 「初めまして、土居と申します」
雫 「若宮雫です」
土居 「奥様からよく聞いてます。竜二さんの婚約者様でお料理がお得意らしいですね」
雫 「得意というかまあ家事が好きです」
土居 「時々お掃除には来させていただいてたんですがお料理はいつ食べるかわからないから用意しなくていいといわれて食事面が心配だったんですよ」
雫 「土居さんは小さい頃の竜二さんも知ってるんですか?」
土居 「はい、奥様がお忙しい方なので小さい頃からお手伝いさせてもらってました」
雫 「どういう子供でした?」
土居 「そうですねー、お兄様の後をついてまわってましたね(笑)仲がよい兄弟ですよ。ご両親が忙しいのでよく二人で遊んでました」
雫 「へぇ」
土居 「竜二さんのほうが一人で何でもなさりますね。お兄様のマンションに呼ばれる方が多かったです」
雫 (土居さんも優しそうな人……竜二さんも可愛がってもらってたんだな)
三日間土居さんに来てもらい雫も四日目から大学とバイトに行くことにした
竜二 「絶対無理はしないこと。わかったね?」
雫 「うん」
竜二は大学に送り仕事へ向かった
○竜二のマンション
雫 「ねえ、試合の日、何が食べたいか皆に聞いておいて」
竜二 「無理しなくてデリバリーでもいいんだよ」
雫 「もう大丈夫よ。今度の日曜日に買い物付き合って欲しい」
竜二 「それは全然構わないけど、長い時間キッチンに立つのしんどいだろ?」
雫 「椅子があるから大丈夫!バイトだってもう出来てるし」
竜二 「みんなが聞いてきたんだろうね」
雫 「うん、レジの横に杖置いてたし、店長が二人体制にしてくれて助かった。澤田さんも話しかけてくれたよ」
竜二 「そっか……じゃあ、みんなに聞いておく」
雫 「うん」
竜二 (雫ちゃんは本当に料理作るの好きなんだな。止めると逆にストレスになるのかも)
○十一月三日試合会場
観客席に竜二と雫は向かうと竜二の友達が集まっていた
竜二 「階段ゆっくりな」
雫 「うん、ありがと」
竜二 「おはよー」
雫 「おはようございます」
忍 「おはよー。あれ、雫ちゃん足どうしたの?」
雫 「実はこけちゃってですね(笑)」
竜二 「骨折だよ」
綾 「えー、大丈夫なの?」
雫 「もう、だいぶいいんですよ」
美咲 「料理のリクエストなんてしてる場合じゃないじゃないの?」
雫 「いえいえ、私も楽しみにしてましたし……みなさん、頑張って下さいね!」
広樹 「雫ちゃんの旨い飯の為にがんばるか」
俊 「飯の為って広樹らしいけど(笑)まあ頑張るかー」
美咲と綾のペアはすぐに負け、男性陣の応援に雫と三人で応援する
竜二と忍のペアは順調に勝ち上がり優勝することができた
雫 「きゃーやったー!竜二さん凄い」
美咲 「いつもいいところまでいくのに中々勝てなかったのよ」
綾 「雫ちゃんがきてくれたから竜二が頑張ったんじゃない?」
雫 「竜二さん、頑張って走ってましたから~」
雫はコートにいる竜二に向かって手を振り、竜二も手を振りかえした
表彰式が終わって二人が観客席に上がってきた
雫は竜二の写真を撮り、竜二からハグをされた
雫 「かっこよかったよ、竜二さん」
竜二 「ありがとう。嬉しい」
みんなで写真を撮り、一度着替えてからの集合となった
○竜二のマンション
竜二はシャワーを浴びてダイニングで雫を手伝いながら試合のことを話す
雫 (嬉しいんだな、よく話す。明日は仕事も休みとってるみたいだし、美味しいお酒になりそう(笑))
ピンポーン
竜二がエントランスカメラを見る
竜二 「入ってこいよ」
雫 「もう、誰か来たの?」
竜二 「綾と美咲」
玄関を開けに行く
綾 「雫ちゃん、手伝いにきたよ~」
雫 「ありがとうございます」
竜二 「美咲は役に立つのか?邪魔するなよ」
美咲 「料理運ぶくらいはできますぅ」
綾 「唐揚げ揚げてんの?やるよー」
雫 「じゃあ、あと揚げるだけなんでお願いします。美咲さんはレタスを手でちぎってください。このお皿に並べて唐揚げを後でのせます」
竜二 「俺でも出来る」
美咲 「うるさいなー、竜二はあっち行ってて」
雫 「竜二さんはちょっとこっちへ」
雫は竜二と一緒に雫の部屋に入る
雫 「ごめんなさい。エアコンつけてます。冷蔵庫に入らないので……」
竜二 「いつの間に部屋に料理入れてたの?」
雫 「朝からお弁当作ってた時におにぎりとかは握ってたの。昨日ほとんど下ごしらえはしてたから……このお皿のぶん唐揚げ揚げた後揚げるからダイニングに持っていって」
竜二 「わかった」
雫 「あと、料理足りなくなったらここに取りに来てね」
竜二 「うん」
雫 「飲み物は冷蔵庫だからね」
竜二 「ありがとう。チュッ」
雫 「へへっ」
二人は部屋から出てきた
綾 「唐揚げ沢山揚げるね、人数多いとやっぱり大変だ」
雫 「唐揚げは多めに鶏肉買ったので余っても冷凍しておけるので竜二さんの夕食になりますからね」
美咲 「熱っ、美味しい~揚げたて」
雫 「ですよね(笑)竜二さんお刺身頼んでるの取りに行ってきてもらえる?」
竜二 「わかった。じゃあいってくる」
綾 「雫ちゃんはお魚もさばけるの?」
雫 「出来ますよ。私は海の近くの出身なんです。今日は朝早かったので買いにいく時間がないのでお魚屋さんに頼んでおいたんです」
美咲 「私さばけない」
雫 「今はスーパーでもお魚コーナーいけばさばいてくれますからね」
綾 「雫ちゃんて苦手なものないの?若いのに家事全部出来てさー」
雫 「苦手なものですか?……ありますよ」
綾 「何?」
雫 「食べ物は納豆で、あと、竜二さんは知らないですけど動物が苦手です」
美咲 「意外……」
雫 「猫が飛び出してきてびっくりして転んだんです。実は運動神経も悪くて……だから変な転げ方しちゃって骨折しちゃいました」
綾 「運動ねー、スラッとした体型してるから出来そうに見えるよね」
雫 「見えるだけです。逆につまづいたりするので床に物を置かないように片付けるんです。竜二さんは大体ソファーかベッドに何でも置くからまあ助かってます(笑)」
美咲 「成る程ねー」
竜二も帰って来て、男性陣も集まり始める
竜二 「みんな、飲み物いったか?じゃあ今日はお疲れ様。乾杯~」
全員 「乾杯~」
みんな食事を始める
竜二 「俊、酔う前にマッサージしてくれよ」
俊 「いいよ、竜二と忍はしとかないと。明日大変だよ」
雫 「俊さんはマッサージ師なんですか?」
俊 「資格は持ってるんだけど仕事にはしてないんだ。よっぽどの客がこないと食ってはいけない。今は素人の安いマッサージ店とか沢山あるしね。知り合いに頼まれたらしてあげるくらいだよ」
忍 「俺下半身だけでいい。先やって」
忍はリビングにうつ伏せになる
雫 「竜二さん私の敷布団部屋から持ってきて下に……」
竜二 「あぁ、そうだな」
竜二は雫の部屋に行き布団を持ってきた
竜二 「ほい」
忍 「ん、サンキュー」
三十分程して竜二と交代する
俊 「おっ、やっぱり竜二は足に来てるな。いつも動いてる忍とは違う、明日筋肉痛だな」
竜二 「実はもう肩が痛いんだ」
俊 「ふくらはぎもヤバイって、それより俺が気になるのは雫ちゃんの身体」
雫 「私ですか?どこも痛くないですよ?」
俊 「気付かないだけで怪我してるの庇うから反対に負担かかってるはず」
竜二の施術を終えると布団を持って立ち上がる