部長は私を甘やかしすぎです!
第二十九章

二人は食事をとった

竜二 「あー、味噌汁旨い」

雫  「もう一日終わっちゃうね」

竜二 「うん、たまにはいい。よく寝た(笑)」

雫  「それならよかった」

竜二 「ご馳走さま。支度できたら送るよ」

雫  「うん!」


竜二は雫をバイト先に送り実家へ向かった

○真中家

竜二 「ただいま」

土居 「おかえりなさいませ」

竜二 「土居さんこの間はありがとう。助かったよ」

土居 「いえ、可愛らしいお方ですね」

竜二 「(笑)だろ?」

竜二はリビングに行く

竜二 「母さんただいま」

母  「あら、おかえり。兄ちゃんが連絡したの?仕事は?」

竜二 「うん、昼に電話かかってきた。いる?」

土居 「呼んでまいります」

母  「雫の足はどう?」

竜二 「うん順調だよ。今日有給とってたんだよ。雫ちゃんを送っていったとこ。また迎えにいくから長くは居られないけど」

兄  「竜二」

竜二 「おかえり」

兄  「ただいま」

竜二 「電話寝ぼけててごめん」

兄  「構わないよ」

竜二 「昨日テニスの試合だったんだよ。優勝したんだ。それで夕べは家で打ち上げしたから最初から有給とってた。親父は?もうすぐ帰る?」

母  「飲み会で今日は遅い」

竜二 「そっか」

兄  「母さんから聞いたけど婚約したんだって?」

竜二 「うん」

母  「雫はいつ来れるの?」

竜二 「ギプスがあと二週間でとれる」

母  「二週間かー」

竜二 「すぐだよ」

母  「雫はとってもいい子よ。今は月曜日が後期授業が午前中だけになったからランチ行ってヨガして帰るの。他の曜日はバイトが夕方からあるからゆっくり話せないのよね」

兄  「えっ、授業って……学生?」

竜二 「うん、大学三年でサクラスーパー三沢店のバイト(笑)いい子見付けちゃった」

兄  「マジかよ、ギプスっていうのは?」

竜二 「この間自転車で転げて足を骨折して大学とバイトに送り迎えしてるんだ」

兄  「竜二、そんなにマメだったっけ?」

竜二 「いや、雫ちゃんだから(笑)」

兄  「でれでれじゃないか、全く」

竜二 「皆に言われる(笑)日本にいるうちに会ってよ。雫ちゃんは月曜日の夜空いてるんだ」

兄  「じゃあ次の月曜日に会おうか」

竜二 「わかった、言っておく」

土居 「竜二さん、お食事は?」

竜二 「あっ、じゃあ軽く食べる。ありがとう」

土居 「ではお支度しますね」


竜二と母、兄の三人で食事する

兄  「お前の方が先に結婚するのかー」

竜二 「大学卒業してからだよ。多分ね」

母  「多分て……ちょっと子供が出来たからって言うのは雫が可哀想だからちゃんと卒業させてあげてよ」

竜二 「子供はちゃんとする。多分てのは雫ちゃんが資格を取るからだから」

兄  「あれだけ遊んでたお前がねー、家庭作るか……」

竜二 「会社入ってからは必死で働いたよ。だいぶ落ちついてきたところに癒される彼女を見つけたんだ」

母  「どっちが結婚してもいいわ。孫と遊びたい」

兄  「明日昼メシ行ける?」

竜二 「明日は無理、店舗まわるから。雫ちゃんにもタクシーでバイト行って貰おうと思ってるから、明後日なら大丈夫だよ」

兄  「じゃあ、俺が明日連れて行こうか?」

竜二 「えー、二人?」

兄  「まあまあ、顔合わせってことで、写真送れよ」

竜二 「会うの?本当に?」

竜二は携帯から雫の写真を出して兄に送った

竜二 「絶対に名刺渡してよ。不審者扱いになるよ」

兄  「わかったよ」

竜二は時間になり、雫を迎えに行った


○竜二のマンション

竜二 「今日実家に行ってきた」

雫  「うん」

竜二 「久しぶりに兄貴が帰ってきてさ、明日ね俺が雫ちゃんを大学に迎えに行けないって言ったら兄貴が来てくれるって」

雫  「悪いよ、お兄さんまで迷惑かけて。タクシーでいくよ」

竜二 「そう、言ったんだけど兄貴にも逆らえないんだ」

雫  「そうなの?」

竜二 「いつもの所に車停めるように言ってあるし、名刺渡すようにいってるから必ず名刺確認してから車に乗ってね」

雫  「わかった」

竜二 「明日夕方から三沢店にも行くよ。久々に夜回るんだ。予定では六時から七時くらいに入れると思う」

雫  「恥ずかしいな。夜来るのって面接の時以来じゃない?」

竜二 「だなー、基本あんまり行かないからね(笑)あー、今日は休みだったのに一日早かった」

雫  「だって寝てたもん(笑)」

竜二 「じゃあまた寝ますよ。お姫様」

雫を寝室に連れていく

竜二 「おやすみ、チュッ」

雫  「おやすみなさい」

竜二 「あっ、明日フレックス使うから午後から出勤」

雫  「わかった」

○大学

雫は大学の門を出て竜二がいつも停める場所へ向かった

白い高級車が停まっていた

雫  (あれかな?)

雫が近付いて行くとドアが開いた

兄  「こんにちは、雫ちゃん」

雫に名刺を渡す

雫  「初めまして、若宮雫です」

兄  「どうぞ」

助手席のドアを開けてくれて、雫は車に乗った

雫  (竜二さんも最初車のドア開けてくれたっけ、行動が同じだ)

兄が運転席に座る

雫  「わざわざすみません」

兄  「構わないよ、今は暇だから(笑)」

雫  「竜二さんにもいつも迷惑かけてしまってます」

兄  「いいんだよ、あいつは好きでやってるんだから申し訳ないと思うより可愛く笑ってありがとうっていってあげる方が喜ぶよ」

雫  「そうですか?」

兄  「うん、竜二は頑固だからね。自分が思った通りにしてあげた方が喜ぶよ」

雫  「そうなんですね(笑)じゃあありがとうございます」

雫はニコッと笑ってお礼を言う

兄  「俺?頑固じゃないよ」

雫  「でも、私を送ってくれるって言ったんですよね?竜二さんお兄さんには逆らえないって言ってました。似てるのかなって」

兄  「あー、まーそうだな。似てない……いや、似てる……とこもあるかな(笑)」

雫  「あの、お兄さんは竜二さんといくつ違うんですか?」

兄  「二つだよ、大学も一緒だった」

雫  「そうなんですね、土居さんから仲が良かったと伺ってますが一緒に住んでたんですか?」

兄  「いや、別々。俺は勉強ばっかしてたから、竜二がいると勉強にならない。うるさくて(笑)」

雫  「うるさいんですか?でも確かに竜二さんはよく話しますね。仕事柄かと思ってました」

兄  「お互い彼女もいたし、邪魔だろ?竜二はモテたからな」

雫  「そうみたいですね。カッコいいので仕方ないです。今さら美咲さんにヤキモチ焼いてもしょうがないですけど……竜二さんのお仲間ですから」

兄  「美咲ちゃんのこと知ってるんだね。でも今は雫ちゃんにゾッコンだけどね。顔つきが変わっててびっくりしたよ。一年くらい会ってなかったから」

雫  「昔の顔はわかりませんが竜二さんは甘えん坊ですね」

兄  「そうだね、俺にも甘えてくるね。母さんが仕事を始めたのが寂しかったみたいだよ」

雫  「佐和子さんが……」

兄  「母さんのこと、名前で呼んでるんだ」

雫  「はい。でも、佐和子さんもヨガ頑張って教えてて凄いと思います」

兄  「竜二が小学校上がって始めてからヨガにはまってね、母さんは社交的で外に出たい人だったから……俺は特に思わなかったけど、竜二はねー、だから家庭的な雫ちゃんが好きになったのかなー」

雫  「ただ家事が好きなだけですよ」

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