部長は私を甘やかしすぎです!
第三十一章
○週明けの月曜日、本社ビル
竜二 「今日直帰にするから」
真木 「はい、わかりました」
竜二 「あと、水曜日は午後から出社する。病院連れていくから」
真木 「やっとですね」
竜二 「あぁ、君にはスケジュール変更させて悪かったな」
真木 「いえ、部長は普段から外も多いですし、何とでも言えます。部長こそ時間調整が大変だったでしょう」
竜二 「まあ、大学終わりの時間がな。でもなんとかなるものだよ。年末だったら出来なかったけど、雫ちゃん甘えないからさ。もっと甘やかせたいのに」
真木 「でも、そういうお嬢様だから好きになられたんですよね?甘えてばっかりだと今までの人と変わらないですよ」
竜二 「……そう……だな。遠慮するのが可愛いのかもしれない。だいぶ欲しい物は言うようになったけど家の物ばかりだし……ワンピース買ってから服も靴も買ってないみたいだし、でもそういう子を俺は確かに選んだんだよな。雫ちゃんの意見も尊重しなきゃ」
真木 「お若いのにしっかりしてらっしゃるから側にいてあげるだけで雫さんは嬉しいのではないでしょうか」
竜二 「そっか……俺、今までの彼女の事、なんで君に当てられないといけないんだ?」
真木 「進藤様を見てるとそういう感じでつきあってらっしゃったのかなと(笑)」
竜二 「確かに……」
真木 「あ、あと舟木店の内田さんの店長試験の合格の報告を課長から受けてます。近いうちに書類が回ってくるかと」
竜二 「じゃあ回ってきたら十二月一日付けで舟木店の店長に辞令を出す」
真木 「はい」
○雫の大学
雫 「あれ、今日は会社の車じゃない。早退?」
竜二 「いや、一つ寄るところがあるんだけど車で待ってて。でそのまま直帰するから」
雫 「うん、わかった」
○車中
雫 「どこで待ち合わせ?」
竜二 「家に迎えに行く」
雫 「お兄さんは実家なの?マンション借りてたんじゃないの?」
竜二 「海外によく行くからマンションはもう解約してる。実家に自分の部屋あるしね」
雫 「実家って遠いの?」
竜二 「大学からだと車で一時間くらいかな」
雫 「それでマンション借りてたの?二年同じとこ通うのに別々のマンション借りて?」
竜二 「雫ちゃん、兄貴にどこまで聞いてるの?」
雫 「えー、お互い彼女いたしやっぱり別々じゃないとー、竜二うるさいしー(笑)」
竜二 「ちょ、ちょっと兄貴は何を雫ちゃんに……」
雫 「ふふっ、大丈夫。何とも思ってないよ」
竜二 「雫ちゃん、兄貴の言うこと全部信じちゃ駄目だよ」
雫 「それは私が決める。同じ大学なのに一緒に住めばいいのにって思った」
竜二 「まあ、それぞれ諸事情があってさ」
雫 「女の都合でしょ。竜二さんモテたから仕方ないけど」
竜二 「兄貴もモテたよ」
雫 「まあ、カッコいいとは思う」
竜二 「えっ、俺より?」
雫 「竜二さんのほうがカッコいい(笑)」
竜二 「よかった」
○真中家
雫 (わっ、大きい家……指紋認証だ)
竜二 「ただいま」
土居 「いらっしゃいませ」
雫 「お邪魔します。この間はお世話になりました」
土居 「いえ、まだとれないんですか?」
雫 「明後日とれます」
竜二 「ただいま。母さんいたんだ」
母 「今帰ったとこよ。雫いつ来れるの?」
雫 「明後日とれるから来週かな。佐和子さん、車でここに来るの聞いたから何も持ってきてない」
母 「いらないわよ、こっちがあげる。頂き物のお菓子沢山あるから持って帰って食べて」
雫 「本当?嬉しい」
女二人で話し出す
竜二は二階の兄の部屋へ行く
コンコン
竜二 「来たよ」
兄 「んー、竜二?」
竜二 「寝てた?」
兄 「ウトウトしてた」
竜二 「仕事?」
兄 「少しだけな、次の仕事の準備。彼女は?」
竜二 「下で母さんと話してる」
兄 「母さん帰ったのか」
竜二 「うん」
二人は下におりた
兄 「母さん、おかえり」
母 「ただいま」
雫 「お邪魔してます」
兄 「うん、何処に食べに行く?」
雫 「佐和子さんも行く?」
母 「行きたいけど二人は呑むでしょ。絶対一軒じゃ終わらないもの。私明日早朝ヨガ入ってるのよ。また今度ゆっくり出来るときにね」
雫 「残念……」
母 「月曜日にランチ行こうね」
雫 「うん」
兄 (母も溺愛か(笑))
竜二 「俺は呑まないよ。車だから」
兄 「雫ちゃん、何が食べたい?」
雫 「韓国料理とか?」
佐和子と土居に雫は手を振って三人で出かける
竜二 「兄貴、ナビ入れて」
兄 「んーわかった」
○店の中
兄 「母さんとは何処にランチに行くの?」
雫 「教室の近くになるので店は限られてるんですがカフェとかパスタが多いですね」
ビールとノンアルコールビールが運ばれ三人は乾杯する
兄 「くー、旨い。ビールは俺は日本のがやっぱり好きだな~」
竜二 「ワインが多い?」
兄 「そうだなー、ヨーロッパが多いからな、和食が恋しくなるよ。二人は食べ歩きしないのか?」
竜二 「雫ちゃんの料理食べだしたら外で食べなくなったね」
雫 「いつも、美味しいって食べてくれるから作っちゃいます(笑)」
兄 「家呑みか……」
竜二 「そう、もう呑んだらすぐ寝たくなってきてさ、年を感じる。クリスマスにでもどっか食事行く?」
雫 「バイト休めないよ。忙しいのに」
兄 「真面目だな」
竜二 「そこがいいんだよ(笑)まあ、テニスの忘年会あるしな」
雫 「そうだね」
兄 「お前らまだつるんでるんだな」
竜二 「今一番人数多いかな。でもこれから結婚する奴出てきたから減るかも」
兄 「あー、仕事も落ち着いてきたし独身気分を味わっとこうって年齢だよな」
雫 「そうなんですか?」
兄 「まあ、俺の友達もだいぶ既婚者増えてきたからあんまり集まらなくなったな」
竜二 「それは、兄貴が日本にいないからだろ?」
兄 「それもある。で帰っても連絡しないから(笑)」
竜二 「それは連絡しようよ(笑)」
兄 「面倒になってくるんだよ」
竜二 「俺らは順番に幹事が回るから多分集まるんだろうな」
雫 「そうなんだ」
竜二 「うん、今度は祐介かな」
雫 「へぇ、あっ辛っ、でも美味しい。キムチもつけてみたいな。これから白菜安くなるし」
竜二 「それでキムチ鍋しよっか?」
雫 「うん!」
兄 (仲のよいことで……)
雫 「お肉も美味しい。お野菜も」
兄 「沢山食べていいからね」
雫 「はい!おいし!」
兄 「お前らいつ結婚するの?」
竜二 「まだ日は決まってない。とりあえず卒業を目安にかな」
兄 「決まったらすぐ知らせろよ。仕事入ったらキャンセルできないからな」
竜二 「うん」
三人は店を出た
竜二 「どうする?家にくる?模様替えしたよ」
兄 「へぇ、それも雫ちゃんの為?」
竜二 「勿論!」
兄 「じゃあ、久しぶりに寄ってみるか」
雫 「竜二さん、ビールしかないよ。他のお酒呑みたかったら買って帰らなきゃ」
竜二 「じゃあ、どっか寄ろう」