部長は私を甘やかしすぎです!
第三十二章

○酒専門店

男二人は酒を探し、雫はおつまみコーナーへ

竜二 「日本酒でも呑む?」

兄  「いいな」

雫が合流する

雫  「竜二さん日本酒呑めるの?」

竜二 「お正月に少し呑むよ」

兄  「払ってくるよ」

雫の買い物かごをレジに持っていく

雫  「あっ、すみません。店も出してもらったのに今度は家に呼ぶんだからこっちが出さないといけないんじゃないかな?」

竜二 「真中家は上のものが出すって決まってる」

雫  「竜二さんはじゃあ出さないの?」

竜二 「うん、雫ちゃんにしか出さない」

雫  「それで私に出さしてくれないの?」

竜二 「うん、だから俺は誰にも逆らえないのわかった?一番下の立場だから」

雫  「佐和子さんも受け取ってくれないのわかったかも」

竜二 「もう母さんの中では娘同然だからね」

雫  「私がでも社会人になって最初の給料で食事に行くときは私に出させてよ。絶対ね」

竜二 「わかったよ、約束する(笑)」

雫は竜二と手をつないで店を出た


○竜二のマンション

兄  「おー、明るくなったな。黒基調だったのに」

竜二 「だろ?」

雫はさっとおつまみを用意する

兄  「雫ちゃんは日本酒は?」

雫  「呑んだことないです」

兄  「冷酒だから呑みやすいよ。少し呑んでみる?」

雫  「少しだけ……」

竜二 「乾杯」

雫  「あっ、美味しい!」

兄  「熱燗は匂いが気になるけど、冷酒はそうでもないだろ?」

竜二 「これ、旨い!」

兄  「呑みやすいと思って早く呑むなよ。日本酒は後でくるから」

雫  「なるほど」

少しずつ口に含みながら呑んでいく

三人で海外の話で盛り上がる

竜二 「兄貴泊まる?布団あるよ」

兄  「いや、お前仕事だろ?タクシーで帰るよ。朝もゆっくり寝れるし」

竜二 「わかった、タクシー呼ぶ」

兄  「雫ちゃん、ごちそうさま」

雫  「こちらこそ、全部出していただいてごちそうさまです」

兄  「またね」

竜二と二人で下に下りていった

竜二 「兄貴、もっと日本にいてよ」

兄  「んー個人で契約するから断ったら仕事なくなるからなー」

竜二 「兄貴の語学力あったら日本でも出来るのに……」

兄  「まあ、一応有り難いことに仕事あるから頑張るよ。お前に継がせて俺は楽しく仕事させてもらってる。感謝してるよ。竜二」

竜二 「いいよ。俺は雫ちゃんと出会えたし、また帰ってきたらすぐ連絡して」

兄  「わかった、じゃあな」

竜二の頭をポンとおさえ帰っていった

竜二は部屋に戻った

雫  「えっ、竜二さん、泣いてるの?」

竜二 「俺、泣いてる?何でだろう」

雫  「日本酒じゃない?泣き上戸になるんじゃないの?」

竜二 「わかんない、兄貴と話してたら……兄貴が感謝してるって……俺ね、本当は兄貴が社長で一緒に働きたかったんだ……」

雫はティッシュで涙をふいてあげる

雫  「そうだったんだ。もう、寝ようね」

竜二 「うん」




雫  「竜二さん起きて」

竜二 「うーん、朝?」

雫  「そう、時間ないよ」

竜二は起き上がった

竜二 「眠い、だるい」

ダイニングにぼーっと歩いて行く

雫  「食べれる?」

竜二 「あんまり食欲ない」

雫  「味噌汁だけでも飲んで」

竜二 「わかった」

雫  「竜二さんは外で呑む時は日本酒のんじゃだめだよ」

竜二 「なんで?」

雫  「何でも!わかった?」

竜二 「うん」



○水曜日、病院

医者 「はい、いいですよ。きれいにひっついてます」

雫  「ありがとうございました」

竜二 「自転車とりに行こうか」

雫  「うん、軽い。浮いてるみたい(笑)」

竜二 「俊に連絡してマッサージしてもらおうな」

雫  「はーい」

自転車屋に寄り雫は取り置きしてもらっていた新しい自転車に乗って一度家に帰り、竜二はそのまま仕事に向かった



雫  「ただいまー」

竜二 「お帰り。自転車大丈夫だった?」

雫  「うん」

竜二 「お風呂今でたところだから入っておいで」

雫  「はーい」


竜二 「雫ちゃん、新しいパジャマ可愛いじゃん。モコモコ(笑)」

雫  「足が治ったら着ようと思ってたの。足首のゴムが伸びるから」

竜二 「可愛いよ、あっ、俊に連絡ついて土曜日の午前中にマッサージ来てくれるよ」

雫  「ありがとう」

竜二 「しばらくはまだ大人しくね」

雫  「竜二さん、本当にありがとう。お仕事あるのに大変だったでしょ。感謝してます」

竜二の隣にひっつく

雫  「我慢もさせててごめんなさい」

竜二 「いや、雫ちゃんも大変だったんだからお互い様だよ。協力できることはするから、これからも俺の世話してね。もう雫ちゃんがいないとダメな生活になってるから(笑)」

雫  「私、役に立ってる?」

竜二 「勿論」

竜二は雫を抱き上げると寝室に向かった

竜二は雫にキスをして優しく抱いていく

竜二 「足……まだ色が……持っても大丈夫?」

雫  「大丈夫……恥ずかしい……あっ」



竜二は雫の頭を撫でる

竜二 「無理させた?」

雫  「ううん。あの、好き……竜二さん」

雫から竜二にキスをした

竜二 「可愛いな~」

雫の身体を指で這わしていく

雫  「あっ」

竜二 「ん?ここ感じるの?」

雫  「違うの。あのね、私竜二さんに言わなきゃいけないことがあってね」

雫は竜二の顔を見た

竜二 「うん」

近づいてきた雫にキスをした

雫  「もう~話」

竜二 「ごめん」

雫  「私勘違いしてて、十一月下旬から管理栄養士の願書を配布ってことは頭にあってね、取り寄せようともう一度調べたら栄養士とれても実務経験が三年ないと受けられなくて……えへへ」

竜二 「えっ!」

雫  「就職しないといけないみたい……です、ごめんなさい!」

竜二 「えーー」

雫はパジャマを着て部屋へ書類を取りに行き竜二に見せた

雫  「大事なとこ見落としてて、もっと調べればよかった」

竜二 「これってうちでもいいんだよね?」

雫  「あーー!そうね」

竜二 「じゃあ、うちに入社して三年たったら受ければいいよ。あ~もっと俺も調べとくんだった。開発部の管轄だからな、ベテランばかりだから俺が入社してから書類も発行したことないや」

雫  「ごめんなさい。就職のお世話までまた甘えることになっちゃって」

竜二 「雫ちゃんの役に立てるなら何でもするよ。でも一つだけお願いがある」

雫  「うん」

竜二 「結婚はすぐしたい!といってもまあ準備もあるし卒業頃に……」

雫  「えっ、でも働かなきゃ……」

竜二 「子供は雫ちゃんの資格がとれるまで我慢する。我慢て言い方もよくないな(笑)んー雫ちゃんの資格をとるってことをまず優先してほしい」

雫  「でも、もし仕事辞めたらあまり使わないかもだよ」

竜二 「それはその時によるし、仕事やりたかったら産休とって会社に残ってもいいし、別の会社で働いても構わない。雫ちゃんはまだ若いんだからやりたいことやって構わないよ」

雫  「そんなこと言ったら竜二さんだってやりたいことなかったの?会社継ぐって高校生で決めちゃって、お兄さんのこと羨ましくなかった?」

竜二 「そうだなー、兄貴が継いで俺は就活もせずに親父の会社入って営業でもするかなってくらいしか考えてなかった(笑)」

雫  「この間お兄さんと一緒に仕事したかったって言ってたじゃない」

竜二 「いつ?」

雫  「お兄さん来た日、泣いてたよ。やっぱり覚えてないんだ」

竜二 「覚えてない……でも、もうそれは叶わないからいいんだよ」

雫を抱き寄せる

竜二 「夢のある兄貴が羨ましかったかな(笑)今の俺は雫ちゃんと楽しい家庭を築くことが一番だな」

雫  「……竜二さん、私幸せだよ」

竜二 「俺だってだよ、よし!でもそうなったら結婚に向けて動けるし、やる気もでる!」

竜二は雫の身体を触り始めた

雫  「ちょっと、こそばい。やる気ってこっち?」

竜二 「んー、色々だよ(笑)チュッ」

雫は竜二に抱かれた後眠りについた


竜二 (結婚までのスケジュールを組まないとな……年明けたら実質一年てとこか。兄貴のスケジュールもあるから早いほうがいいな。年明けたら動こう)

雫の寝顔を見て頬を触る

雫はピクッとなった

雫  「うーん」

竜二 (ふっ、可愛い……)

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