太陽と月の物語

こころの里を紹介するブログを見つけた。建物や料理、おすすめのこころ珈琲の写真のあと、心のご両親の写真があった。

『↑こちらオーナーの皆川ご夫妻。料理や珈琲が美味しいのはもちろんだが、やはりお二人の笑顔が何よりも素敵だ』

心のご両親は、多少白髪が増えたものの元気そうだ。
長年の夢だったらしい喫茶店の開店を叶えて、生き生きした笑顔を浮かべていた。この2人がかつて、愛する一人息子を失い、涙に暮れていたことを誰が想像出来ようか。

元気そうで良かった。

安堵したあと、更にスクロールした俺は息を呑む。

「……朝陽?」

『↑こちら、お店の看板娘、はなちゃんと朝陽さんです。カメラを向けた瞬間、恥じらうように、はなちゃんに顔を隠した朝陽さん(笑)実に可愛らしい』

両手で抱きしめた猫に顔を隠す1人の女性。
恋い焦がれていた女性がそこにいた。

「あ、さひ……」

生きていた。
こんなところにいた。

心のご両親と一緒にいるとか、誰が気付くかよ。馬鹿!
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