太陽と月の物語

部活は下校時刻の17時に終了した。片付けを終えた部員達は更衣室へと向かっていった。

「一緒に帰るんでしょう?八幡くんと」
「えー!?恥ずかしいよ!朝陽も一緒帰ろう?」

麻子はたまに天然なときがある。
何が楽しくて付き合いたてのラブラブカップルと帰らなきゃいけないんだ。お邪魔虫にしかならない未来が見えているじゃないか。

だけど、天然な麻子にそんな私の気持ちを察してくれる訳はなく……。

「お願い。朝陽〜」

甘え上手な麻子のウルウル目に負けて、早々に帰宅することに失敗。しばらく待っていると荷物を担いだ真月と心くんが揃ってやってきた。

「お前、待ってたのかよ」

彼女の麻子に対してぶっきらぼうな真月。

「いいじゃん。一緒に帰りたかったもん」

一緒に帰るのが恥ずかしいと言っていたのはどの口だというツッコミはしないでいた。

「はじめまして。さっき目が合った子だよね?」

バカップルを眺めていた私に声を掛けてくれたのは、心くんだった。

「あ、はい。麻子の友達の春川朝陽です」
「俺は皆川心(みながわ こころ)です」

心くんはさっき見せてくれた笑顔を浮かべてくれた。目尻に沢山のシワが寄る。
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