太陽と月の物語
それから、麻子と真月、心くんと私の四人で過ごすことが増えた。
麻子が構って欲しくて真月にじゃれる後ろで、心くんと帰る通学路。
「朝陽ちゃんってお姉さんじゃないの!?」
「れっきとした末っ子なの」
学校じゃ天然な麻子のサポートを私が担当するせいで、家では1番上だと思われがち。
「違うよー。朝陽には3個上のお姉さんがいるよ」
幼馴染みの麻子が会話に混ざって否定してくれる。
「ちなみにお姉さんは夕陽(ゆうひ)」
もう一つ情報をつけてくれる麻子。
「太陽姉妹だな」
と、ボソっと会話に混ざる真月。
「お姉ちゃんは今高校生?」
「そう。高1」
姉が通う高校の名前を告げるとみんながおお!っと声を上げる。姉はこの街一番の進学校に通っているからだ。
「お姉ちゃんが優秀だから、私っていつもパッとしないんだよね」
だから両親も私には期待していない。成績も怒られこそしないものの『まぁ、夕陽が凄すぎたもんね』と褒めてもらえたことなんてない。
「そんなことないって。俺、朝陽ちゃんと喋ってるの、すごい楽しいんだから」
心くんはそう言って私の肩を叩く。
「それに朝陽ちゃんぐらいしか、麻子ちゃんの暴走止められないし?」
「確かにな」
「ちょっとどういう意味よ!?」
いたずらっ子みたいに笑う心くんと深く同意する真月、叫ぶ麻子。
楽しくて仕方なかった。
隣にいるだけで良かった。
もうあの頃には戻れない。