太陽と月の物語
心くんを好きになるのに時間は掛からなかった。
天然なくせにそこだけ鋭い麻子にバレるのも。
夏休みは陸上部の二人は忙しくてなかなか会えなかったけれど。
地元のお祭りやプールなんかに一緒に出かけた。真月の家に押しかけて、一緒に宿題をやったこともある。
新学期が始まった。
9月14日。
その日は心くんの誕生日。
麻子に焚きつけられて、誕生日プレゼントを用意した。部活でも使えそうなスポーツタオル。
その日、麻子は明らかに怪しい行動で真月と二人で帰っていった。協力するから!って大口叩いていたくせに、あれは誰がどう見ても怪しい。事情を聞いているらしい真月も呆れたため息を付いていた。
どのように心くんを人気のない廊下に連れていったか覚えていない。私だって緊張していた。
「あの……私、心くんが好きです」
震える声で告げた告白はまさかのOK。思わずへなへなと座ってしまった私に苦笑して、心くんはしゃがんで手を差し出してくれた。
「え、いいの?」
「良いも何も。俺も好きだったし。ずっと」
「そうなの!?」
「うん。初めて目が合ったときから」
そう言って心くんは私の大好きな笑顔で笑った。