太陽と月の物語
心くんと付き合うことになったと告げると、麻子は自分のことのように喜んでくれた。
それまでも心くんと一緒に過ごしていたから、付き合うことになっても大きく変わりはしない。
ただ彼の部活が休みの日には二人きりでデートしたりしたことくらい。
麻子とも二人で遊びに行くし、4人で行くこともあったけれど、圧倒的に心くんとの思い出が沢山増えた。
1ヶ月記念のデートで、初めて手を繋いだ。体育祭のあと、初めて「朝陽」と呼び捨てで呼んでくれた。11月の私の誕生日には小さなハートのネックレスをくれた。クリスマスは、夜にそっと家を抜け出して、近所の丘から2人で夜景を見に行った。その場所で初めてキスをした。
瞳を伏せて、ゆっくりと近づく心くんの顔。その行動が何を意味するのか分かった私も同じように瞳を閉じる。
初めて触れ合った唇は緊張のせいでどちらも震えていた。
「好きだよ。朝陽。大好き」
「私も」
真っ赤な顔で抱きしめられて耳元で囁き合った。
初詣は地元の神社。おみくじを引いたら、心くんは大吉で私は大凶だった。落ち込む私の頭を心はそっと撫でてくれた。
バレンタインは姉に手伝ってもらって、手作りのチョコを作った。
部活終わりに渡したら、甘いものが好きな心くんはとても喜んでくれた。ホワイトデーはデートをしようと言われた。