太陽と月の物語

「麻子……は?」

麻子がこんな話題を切り出すなんてまさか……と思い、尋ね返すと麻子は思いっきり顔を逸らした。

「……しちゃった」
「うそ!」

麻子は真っ赤な頬を手で押さえる。私も思わず口を手で押さえた。

「こないだね……。真月の家族が旅行でいないからって家にお泊まりすることになって……」

幼稚園時代から一緒の麻子。同い年の麻子が一足先に大人になっていた。照れるその姿が凄く眩しい。

「やっぱり……痛い?」
「うん……すごーく」

麻子の言葉にやっぱりそうなのかと、少し怯える。でもそんな不安すら吹き飛ばすように麻子は笑った。

「でもね。すごーく、幸せだったよ」
「幸せ……?」
「うん!」

そうなの?
痛いだけじゃないの?

「だから、ね。大丈夫だよ?朝陽」

多分、私の中の不安とか全部感じ取ってくれた麻子は、本当に幸せそうに笑うから、本当に大丈夫な気がした。
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