太陽と月の物語

麻子が亡くなった……。
人生で唯一無二の親友。

言葉の意味を上手く飲み込めないまま、夜になり、仕事を終えた父と学校を終えた姉の夕陽が駆けつけてくれた。

「よかったな……!朝陽!本当に良かった!」
「よかったね!朝ちゃん。心配したんだよ!」

良かった?
どうして?

麻子が亡くなったんだよ?
心くんは目を覚ましていないし、真月はもう、陸上が出来ないというのに?

事故が起こる前にはもう戻れないのに?

涙を流して喜ぶ両親や姉のように、私は目が覚めたことを素直に喜べなかった。

麻子……。
真月とキス以上の関係に進めたことを打ち明けてくれた。そして、それはとても幸せなことなんだと教えてくれた。

せめて、真月が来たときに2人で先にデートに行ってもらえたら。
私の我儘で噴水前に残らせていなかったら……。

ごめん。ごめんなさい。麻子。
ごめんなさい。
< 25 / 121 >

この作品をシェア

pagetop