太陽と月の物語
麻子が亡くなった……。
人生で唯一無二の親友。
言葉の意味を上手く飲み込めないまま、夜になり、仕事を終えた父と学校を終えた姉の夕陽が駆けつけてくれた。
「よかったな……!朝陽!本当に良かった!」
「よかったね!朝ちゃん。心配したんだよ!」
良かった?
どうして?
麻子が亡くなったんだよ?
心くんは目を覚ましていないし、真月はもう、陸上が出来ないというのに?
事故が起こる前にはもう戻れないのに?
涙を流して喜ぶ両親や姉のように、私は目が覚めたことを素直に喜べなかった。
麻子……。
真月とキス以上の関係に進めたことを打ち明けてくれた。そして、それはとても幸せなことなんだと教えてくれた。
せめて、真月が来たときに2人で先にデートに行ってもらえたら。
私の我儘で噴水前に残らせていなかったら……。
ごめん。ごめんなさい。麻子。
ごめんなさい。