太陽と月の物語
夕暮れ時の太陽
♢side太陽
私には姉がいる。
3歳年上で、名前は「夕陽(ゆうひ)」。
成績優秀で高校、大学は誰もが知っている名門校に通い、大手の化粧品会社の営業企画部に所属するキャリアウーマンだ。
スポーツも万能、高校時代はテニス部の部長としてインターハイまで出場した。
愛嬌も良く、美人な姉は、いつだって出来損ないの妹にも優しかった。そんな姉は私の憧れであり、コンプレックスの塊でもあった。
姉が突然結婚すると言ったのは三年前。相手は私も小学校の頃から知っているガキ大将だった。散々、姉にちょっかいばっかり掛けていた男だったから、多分小学校の頃から好きだったんだと思う。
真月もそのガキ大将を知っていた。何でも小学校時代の陸上地区大会で真月に敗れ、惜しくも第2位だった男らしい。勝手にライバル視されていたが、真月が事故後、陸上を諦め地元を離れた後も心配の連絡が届いていたらしい。
今でもたまに呑みにいくそうだ。
真月はもう地元とは完全に関わりを切ったと思っていたため、これには驚きだ。