太陽と月の物語
姉と義兄である「将大(まさひろ)」さん(これまたガキ大将にうってつけの名前だなと思った)は、実家近くの賃貸マンションに暮らしている。
しかし、この春、待望の第一子が誕生する姉から、3月に入ってから実家に帰省することにしたと連絡が入った。
『たまには帰ってきて、顔見せなさいよー!』
ムキーというお怒りスタンプとともに頂戴した姉からのライン。
「なーに?ため息ついちゃって」
「何でもないですよ」
私は笑ってスマホを鞄に仕舞う。
今日の相手は真月じゃない。
「アキラさん」って男のひと。なんとなく入ったBarで一人意気消沈していたところを拾ってきた。
知っていることは「アキラ」って名前と、遠距離恋愛中の彼女の家に突撃してみたら彼女の浮気が発覚したってこと。あと彼女のことがショックすぎて、仕事でミスしたせいで、私の職場の近くにある倉庫に飛ばされたことくらい。
「アサって秘密主義だよなぁ」
アキラさんに教えている名前は「アサ」。私はベッドの中で本名を呼ばれたことがないなぁと思っていると、シャワーを浴びたばかりのアキラさんが背中にキスをしてきた。
「ああ……やんっ」
そのまま舌で舐められ、思わず声が溢れる。