太陽と月の物語
「あ。将大」
姉の視力がいいのか、愛のパワーなのか、遠くに見える将大さんを見つけた姉が元気いっぱい手を振る。本当は今にも駆け出したいのを懸命に堪えているようだ。
将大さんも気づいたのか、こちらに手を挙げた。
「あれ。もう一人、誰かいる?」
「ホントだ」
将大さんの隣にはもう一人人影があった。
「誰かと一緒に来るって言ってたの?お姉ちゃん」
「ううん。私は何も聞いていない」
通りすがりの人かと思ったら、どうも将大さんと会話しているようにも見える。道案内でもしているのかな?
「あ。晃(あきら)くんじゃない」
姉の言葉にピクッと反応する。
……あきら。アキラって、え、うそ!
私と姉は足を止めたけれど、向こうの二人が歩みを進めるたび、距離が近づいてくる。回れ右したい。ダッシュで逃げたい。
だって、だって、目の前に迫ってくるその人影は。
「っ……!?アサちゃん!?」
「……アキラ……さん?」