太陽と月の物語
シャワーから出ると真月はリビングでノートを開けていた。真月の企画やアイデアがいっぱい詰まった方眼ノート。こうやって頭に浮かんだことをひたすらメモして、毎回素敵な企画書を作るらしい。
真月は私が出てきたのを見るとノートを閉じた。
「続けていていいよ?」
「いや、いい」
真月は立ち上がると私の肩を抱き寝室へと促す。そこからの流れは体が覚えているから、私は黙ってついていく。
噛み付くようなキスが始まりの合図。
私の身体はベッドの上であっさりと組み敷かれる。
性急な真月の手のひらが服の下を弄る。
いつも真月はすがりつくように私を抱く。
「……いや。真月……!」
「っ……あさ……!」
“あさ”
求める声が紡ぐのは、私じゃない他の人の名前。
日に日に巧みになる愛撫が自分以外の女性の存在を感じる。でもそれを咎める術はない。
私は彼の恋人じゃないから。
都合のいい女?
上等だ。真月を救えるなら私は喜んでこの身体を差し出すだろう。