太陽と月の物語
サヨナラからはじまる

♢side太陽


私が気づいた心情の変化に関わらず、朝はやってくる。仕事は休めない。

鏡を見ると寝不足のせいで目の下にクマができていた。
コンシーラーで上手く誤魔化したが、今度は肌が青白くなってしまい、これでは病人みたいだ。

いつもより少しだけチークを濃く塗って、血色を足す。

胸がつかえて食欲が無かったので、朝ごはんは抜いた。

「おはようございます!春川さん」
「おはようございます」

会社に着くともう人が来ていた。
朝から元気なのは宮端さんだ。その服装が昨日と違うことに、少しホッとした。

「春川さん、顔色悪いですよ?大丈夫ですか?」
「あはは。取り溜めたドラマまとめて観てたら寝不足でねー」
「あー。ありますね!そういうこと」

まさか真月への恋心を自覚して眠れなかったとは言えず、咄嗟に吐いた嘘は、思った以上にあっさりと受け入れられた。

「無理しないでくださいね!ややこしい仕事なら、バンバン私に振ってください!」
「頼もしいわね」

力こぶを見せてくれる宮端さんに笑いかけて、私は自分の席についた。
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