太陽と月の物語

ひとまず真実を確認するのが先だと、私は今までで一番の集中力を発揮して、定時きっかりに会社を出た。

白黒ハッキリさせようと、家の近くにある産婦人科に向かった。

「おめでとうございます。今、8週目ですね」

ある程度の確信はあったから、医師の言葉にそこまで驚かなかった。私の予想は正解だと教えられた気分だ。

父親は真月なんだろう。
アキラさんはこういうことにならないよう、いつも気をつけてくれていた。そして私に告白をしてくれてからというものの、そういうことは全くしていない。ホワイトデーのあの日を考えるとどう考えても真月の方が可能性は高い。

産むか、産まないか。
真月に話すか、話さないか。

……一人で産んで、もし私が姉みたいに亡くなったら、子どもはどうなる?

産まないなら、私が取るべき行動はただ一つ。
お医者さんにも産まない決断は早い方がいいと言われた。遅ければ遅いほど、体への負担は大きくなるらしい。

隠し通すには限界がある。真月に話さないなら、今の仕事を辞めなければ……。

……どうしよう。
どうすればいい?

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