太陽と月の物語

真紀子さんは真剣な表情で、身を乗り出して尋ねてくる。

「しません」

後悔なんてしない。
私が願うのは真月の幸せだけ。

「……15年ですよ。15年。ようやくなんです。ようやく、彼が前に進もうとしたんです。初めて、女性に笑ったんです。渋々だけど、初めて麻子以外の女性の告白を受け入れたんです」

何度、孤独な夜を過ごしたんだろう。心に空いた穴を埋め合わせるように、何度も温もりを重ねた。

最後に選ぶのは私じゃなくていい。彼が、真月が、幸せなら……私の失恋なんてどうでもいい。

「朝陽ちゃん、それってもしかして……真月、くんのこと……?」

答えないことが答えだった。
真紀子さんは正しく私の沈黙を理解して、頷く。

そして真紀子さんは決意を固めた強い声で言った。

「だったら、朝陽ちゃん。私のところ来ない?」

それは突然の誘いだった。

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