太陽と月の物語
朝陽の実家の場所は大体知っているから、実家に直接向かうことも考えた。だけどもし、朝陽が退社の旨を両親に伝えていなければ、両親2人を当惑させることになりかねないと判断して、近いけれど遠い将大さんに当たってみた。
晃さんの膝の上で将大さんの子供陽輝ちゃんがご機嫌のうちに、将大さんがコーヒーを淹れてくれた。
そして、将大さんが着席したところで俺は単刀直入に本題を切り出す。
「……朝陽が突然会社を辞めました」
「は?」
「え?」
2人の様子から、朝陽はこの2人にも退職を知らせていないのだと知る。
「そして、昨日から連絡が取れません。お二人は朝陽の行方を知りませんか?」