瓦礫の剣士
「おお〜、怖」

「暴力的だな!」

取り押さえられる尚を見て、白鴎高校は見下した目を俺たちに向ける。

険悪な空気の中、練習が始まった。



黙想と体操をした後、いつものように足さばきと素振りをする。

「ふ〜ん。こんな練習なんだ」

「うちの方が厳しいっすよね〜」

「そりゃあ弱小校だからだろ」

練習している間も、白鴎高校は俺たちのことを馬鹿にしてくる。チクチクと心が痛んだ。もう楽しいなんて思えない。

……あれ?こんな風に思うことが前にもあったような。何だっけ?

面をつけて、面や小手などを打つ稽古をする。でもやっぱり強豪なだけあって、白鴎高校の打ちは素早い。

「これじゃあ、次の練習試合はボロ負けだな」

白鴎高校の人に言われ、俺もぶん殴りたくなってしまった。白鴎高校の顧問は何も言わずに剣道の雑誌を読んでいる。

俺だって白鴎高校の人に言ってやりたい。うちでは、どんなに弱くてもみんなで教え合い、基礎をしっかり練習していくことを。仲間にも、試合相手にも、そんな言葉を言ったりはしないことを。
< 15 / 24 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop