瓦礫の剣士
休憩が終わった後、練習試合をすることになった。やるのは団体戦だ。

剣道の団体戦は、五人が順番に戦って勝ち数を競う。試合順によってちゃんと役割や立場があるのが特徴だ。

「それでは、レギュラーを発表する」

青羽先輩の声に、俺たちの中に緊張が走る。レギュラー発表は、なぜかいつもドキドキしてしまうのだ。

「先鋒!秋元!」

「よっしゃあ!」

尚がぐっと拳を握る。尚は先鋒に一番この中で向いているな。

先鋒は一番最初に戦う。試合の流れや指揮を決める斬り込み隊長だ。

「次鋒!久保!」

「は、はい!」

英二が緊張したように返事をした。

次鋒は勝敗が全体に影響しにくい。そのため、一年生を経験のために出すチームも多い。

「中堅!岩村!」

「はい!」

俺は元気よく返事をする。中堅ーーー大事な役目を任された!

中堅は三番目に戦う。二勝や二敗など大事なところでまわってくる試合の要だ。二番目に強い選手がつくことが多い。

「副将!牧場!」

「……はい!」

牧場先輩が真剣な表情で返事をする。練習以外で、牧場先輩がこんなに大きな声を出すのは珍しい。それほど、この練習試合のことを考えているのだろうか。
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