瓦礫の剣士
英二は試合を真剣に見つめ、「勝ってくれ〜!!」と呟いている。俺も尚を必死で応援した。

「小手〜!!」

「面〜!!」

尚は大声を出して打っていくが、一本になかなかならない。時間がどんどん過ぎていく。

残り時間、あと一分。白鴎高校は余裕の笑みを浮かべている。

「面〜!!」

相手が面を打ってきた。その時、尚は相手の竹刀を避けて胴を打つ。返し技の抜き胴だ。

「胴あり!!」

尚が一本を取れたことで、俺と英二はホッとした笑みを浮かべる。

先鋒戦は引き分けとなった。

次は次鋒戦。英二と松本が戦う。

松本は今年入った一年生で、英二と同じだ。しかし、経験者らしく英二は押され気味だ。

「突き〜!!」

松本の強烈な突きを英二は食らう。

「突きあり!!」

白鴎高校は咳き込む英二を見て、さらにニヤニヤと笑った。

「英二、大丈夫か?」

「久保、無理はするな」

俺と青羽先輩が声をかける。英二は苦しそうな呼吸をしながらも、「……大丈夫です」と言った。
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