ノワールとブロンシェール

目が醒める
そして思う、平和になったと
爆発による魔力の大きな揺らぎに起こされることなく、寝て起きてができる世界

約束を果たせた、と感じる
しかし、そばにいてほしい女はいない
何百年経っただろうか

女の生命が消え、女を殺した男を消したいと思った
けれども、わざわざ女を離して、その男を手にかけるよりも、女と離れることの方が嫌だった

しばらく経つと、２つの種類の揺らぎを感じた
それは自分と女、互いの君主とその側近たちだった

彼らと話した
終わりなく不毛の争いを
今後のことを

そこで２つの種族は決まりを作った

そして、争いは終わった

男は奔走した
小さな争いごとでも、それが種族の火種とならないように

その甲斐あってか、数十年すぎるごとに争いは減り、平和に近づいた

２つの種族は過去に争いあっていたことを忘れるぐらいの関係になった

２つの種族から２つの種族の血を引く子が生まれ、その数は増えていった

純血と呼ばれる者はいなくなったといって等しい

誰がどう見ても今の世界は平和だと思うだろう

終わりのない争いに生命を消耗し、武器を手にとっていた時代は終わった

しかし、ぽっかりとあく虚無

逢いたい

純白の翼を持ち、優しく微笑む女、ティアリーナ

俺はいつまで待てばいいのだろう

そう思う

そんな俺に部下たちはほかの女を紹介してくれるが、俺の心は動かない

ティアリーナが俺の心を掴んで離さない

はやく、はやく逢いたい

そんな焦燥に駆られる


「はぁ…」
溜め息が溢れを落ちる