うさぎ
第六章 別れ
*side 隆之
――――真於が意識を失ってから、俺は急いで救急車を呼んだ。
その間、俺は真於を失ってしまったら、っていう恐怖から動けずに、ただみていることしかできなかった。
今、真於は病室で静かに眠っている。
俺はそっと真於の頭に手を伸ばし、髪を手ですいた。
医者によると、もう少し出血していたら輸血が必要な状況だったらしい。
切られた右手も、切り傷が深かったら、動かなくなっていたかも知れないそうだ。
傷跡も、もしかしたら残るかもしれないと言われた。
俺は、医者に何があったのか聞かれて、答えることができなかった。
いろんなものがぐちゃぐちゃに混ざりあってしまって、俺だって、何がなんだか分かっていなかった。
真於を守れなかった自分の弱さが、恥ずかしい。
俺は真於の手を握ると、その手に、あの日のようにそっと口づけをする。