うさぎ
「話がしたいの…。隆之と、二人で」

先輩は俺の様子を伺うように言った。

俺は、やっとか、と思う。

多分、別れ話だろう。

俺は息を吐くと、椅子から立ち上がった。

「いいですよ、俺もちょうど先輩と話がしたいと思ってました」

先輩は頷いた。

「……中庭で、話しましょうか」

先輩がそういうので、俺は分かりました、と言って先輩について行く。





しかし、先輩が連れてきたのは、病院の裏だった。

「……中庭じゃないんですか、先輩」

俺は呆れながら先輩に聞いた。

まぁ、こうなるのは薄々分かってはいたけれど。

中庭なんて、人目が付くところに先輩が俺を連れていくわけないのは、うすうす分かっていた。
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