うさぎ
「ちょっと……、なにいってるのか分からないです」

俺は動揺を隠しきれず、口元を手でおおう。

先輩はそんな俺の手を掴んだ。

「勝手な事言ってるのは分かってる!
だけど私は隆之が好きなの!
もう一度私にチャンスをちょうだい?」

ゾワワっと、握られた手から鳥肌が立つ。

恐ろしいほどの、先輩に対する拒絶反応。

こんなの、はじめてだ。

先輩の目が涙目になっている。

と同時に、どうして俺なんだろう、と思う。

先輩はどうして俺を好きになったんだろう、と。

俺は先輩の手をそっと離すと聞いた。

「どうして、俺なんですか?」

先輩は困惑した顔で首を捻った。

「どうして、俺の事を好きになったんですか?」

俺はもう一度先輩に聞く。
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