うさぎ
先輩は俯くと、一つ一つ思い出すように話し始めた。

「…最初は、私隆之の事、全然好きじゃなかったの。



…いつもぼーっとしてるし、バスケも下手だし。
誉めればのびるタイプなのかな、とか思って、面白半分に応援してただけだった」

俺は、中1のバスケ部に入った頃を思い出す。

あぁ、だから俺はあんなに先輩に応援されていたんだ、初めて知った。

特別扱いされているとまでは思わなかったけど、何回か不思議に思うことはあったんだ。




「でも、だんだん、隆之がどんなことを考えているのか気になるようになった。
ぼーっとしてるときの隆之の顔は、なんだかいつもと違って、男の人の顔をしていたから」

先輩は顔をあげると、悲しそうに笑った。
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