うさぎ
先輩はまたくるりと回転して、俺と目を合わせる。

「隆之に他に好きな人がいるっていうのは、何となくいつもの様子から分かってたけど、自信があったの。私なら、隆之を振り向かせられる自信」

……あぁ、そう言えばそんなことも言っていたなと俺は思いだす。

とんだ自信家なんだと思ったけど。

「それから、まぁ…、隆之を脅しながら付き合ってるみたいになってたけど、それでもちょっとは私を好きでいてくれてるんじゃないかって思ってたんだ」

先輩は自分の手首を掴んだ。

「…でも、隆之はそんなこと無かったんだよね」

か細い、呟くような声だった。

「…そうですね」

風が吹いて、先輩の髪が揺れる。
< 119 / 200 >

この作品をシェア

pagetop