うさぎ
「私の事、怖かった…?」

「怖かったです」

俺は先輩に少しでも嫌われたくて即答する。

「…そっかぁ」

先輩が髪をかきあげる。

とても色っぽい仕草だった。

俺じゃなければ良かったのに、と思う。

好きになったのが俺じゃなければ傷つくことはなかった。

可愛くて、人気のある先輩なら、俺以外に愛してくれる人がいただろうに。

俺は病院を見上げた。

俺はこれから先も、真於以外を愛すことなんてないと思う。

そのためには、早くこの先輩との関係に、終わりを告げなければならない。

もう俺、キスもハグもそれ以上も、真於とじゃなきゃ、嫌だから。

先輩は俺の瞳をじっと見つめる。
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